[III-PPD4-03] 乳幼児心筋viability判定における遅延ガドリニウム造影・遅延ヨード造影の有用性
Keywords:CT, MRI, バイアビリティ
【背景と目的】心臓MRI遅延Gd造影(LGE)や心臓CT早期造影欠損(EPD:Early Perfusion defect・遅延ヨード造影(LIE:Late Iodine enhancement)は心筋viabilityを判定し急性心筋梗塞(AMI)後の壁運動回復を予測する.しかし小児での報告はない.術後MI小児のLGEとEPD・LIEの梗塞巣検出能を比較し,LGEやEPD・LIEが小児においても中遠隔期の壁運動回復(viability+)を予測しうるか検討した.【対象と方法】2017年から2022年に術後MIと診断された5例(TGA4/VSD1,AMI3/OMI2,0.46(0.26-5.4)歳)の左室心筋85segments(AHA17seg-model)を対象とした.LGE,EPD,LIEを深達度(TM)0%,≦25%,≦50%,≦75%,≦100%の5段階に分類し相互に比較した.AMI3例においては各TMと中遠隔期の収縮能回復(scale:0:normal, 1:mild to moderate hypokinesis,2:severe hypokinesis,3:akinesis,4:dyskinesis. scale-1以上の変化を回復(viability+)と定義)を比較した.【結果】LGE52/85,EPD47/68,LIE42/68segがMIと判定された.TMはEPD29±26%,LIE32±31%と,LGE38±38%と比しMI areaは小さく(p=0.027,0.037),分布に差はなかった.AMI3例のLGE陽性29seg中9segの壁運動が回復し,≦50%TMはオッズ比18.67(95%CI:1.89-184, p=0.005)で回復(viability(+))を予測した.一方,LIE陽性26seg中10segが回復し≦25%TMがオッズ比4.25(95%CI:0.88-20.44,p=0.072)で回復予測傾向を示した.LIE被曝線量は平均3.42mSv(0.67-7.12)であった.【考察】LGE-TM≦50%は乳幼児でも正確にviability(+)を判定した.LIE領域はLGEより小さかったが,TM≦25%でLGEに近いviability予測性を示した.造影剤注入速度や撮影タイミングが症例により異なるEPDのMI area識別能は高くなかったが,安定撮影が可能なLIEは乳幼児においてもLGE同様に有用かもしれない.【結論】虚血性心疾患を疑う小児では,造影CTで冠動脈形態を評価すると同時にLIEを撮影し,viabilityを判定することで治療方針策定に役立つ可能性がある.