The 59th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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会長要望パネルディスカッション

会長要望パネルディスカッション4(III-PPD4)
小児の心筋虚血のアプローチ

Sat. Jul 8, 2023 11:10 AM - 12:40 PM 第1会場 (G3)

座長:福島 賢慈(福島県立医科大学 放射線医学講座), 座長:戸田 紘一(埼玉医科大学国際医療センター)

[III-PPD4-05] 完全大血管転位動脈スイッチ術後の冠動脈病変についての検討

島袋 篤哉1, 加藤 昭生1, 西畑 昌大1, 北野 正尚1, 佐藤 誠一1, 中村 真2, 菅野 勝義2, 西岡 雅彦2 (1.沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 小児循環器内科, 2.沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 小児心臓血管外科)

Keywords:完全大血管転位, 遠隔期冠動脈病変, Fraction Flow Reserve

【背景】完全大血管転位(TGA)に対する大血管転換術(ASO)後遠隔期における冠動脈狭窄のメカニズムは不明な点が多い。そのため、冠動脈のフォローについて確立されたガイドラインはない。【目的】遠隔期冠動脈狭窄の発生頻度、狭窄部位、機序について検討し、評価法を見直すこと。【対象と方法】ASO後当院フォロー中の患者で術後評価の冠動脈造影を施行した42名(男32名、年齢 40.2歳:中央値 13.0歳、術後2.3〜35.2年:中央値 13.6年)。そのうち、完全閉塞または高度狭窄を認めた症例について後方視的に検討した。【結果】5/42例(12%)で狭窄所見を認め、完全閉塞2例、高度狭窄3例であった。冠動脈走行パターンは、全例Shaher1型で、病変部位は左回旋枝の完全閉塞1症例を除いて、左主幹部(LMT)起始であった。運動負荷心筋シンチで前壁の虚血所見を認め、有症状のあった2例(完全閉塞1例、高度狭窄1例)で外科的介入を行なった。2例ともにLMTが拡大したValsalva洞の前方に位置し、 肺動脈に挟まれる形態であった。高度狭窄の症例はFractional Flow Reserve(FFR:冠血流予備量比)を測定し陽性と判断し治療適応とした。その他の症例は側副血行路の形成を認め、無症状で運動負荷心筋シンチは陰性であり経過観察の方針としている。【考察】狭窄機序の一つとして、大動脈基部拡大により冠動脈走行の変化が生じ、さらに前方の肺動脈がLMTを圧排するためと考えられる。しかし、狭窄の進行が緩徐であるため、側副血行路が発達し無症状である可能性がある。最初の症状が予期せぬ突然死であることもあり、定期的な冠動脈病変の再評価が必要である。【結語】成人とは違い、臨床症状が乏しいため、積極的な早期診断が重要である。そのためには各種検査(心筋シンチ、CT、MRI、心臓カテーテル検査など)の時期や治療介入の適応を統一していく必要がある。