第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

会長要望シンポジウム

会長要望シンポジウム4(III-PSY4)
リンパ漏の診断と治療<最新版>

2023年7月8日(土) 09:20 〜 10:50 第2会場 (G4)

座長:保土田 健太郎(埼玉医科大学国際医療センター小児心臓外科), 座長:井上 政則(慶應義塾大学放射線診療科)

[III-PSY4-01] リンパの解剖とリンパ管造影の歴史

井上 政則 (慶應義塾大学医学部 放射線診断科)

キーワード:リンパ, IVR, 歴史

リンパ節やミルク状の液体が流れる脈管は紀元前500年に既に記載されていた.しかし本格的にリンパの解剖が明らかとなったのは1600年代である.イタリアの解剖学者のAselliusは腸間膜のリンパ管を初めて記載したが,この液体は肝臓で代謝されて血液になると考えていた.その後フランスの医師であるPecquetが胸管を同定し乳びは静脈に還流することが明らかとなった.最終的にスウェーデンの学者であるRudbeckが肝臓からのリンパ液も乳び槽に合流することが明らかにした.リンパ系のインターベンションは比較的新しい治療であるがその治療には他の脈管系と同様にリンパの解剖を理解することが重要となる.術後の乳び胸水を初めとするリンパ漏の治療として始まったリンパ系IVRが今日では先天性心疾患の合併症である鋳型状気管支炎や蛋白漏出性胃腸症の治療の結びつくのが明らかとなったのは最近の事である.本講演ではリンパ系IVRに必要なリンパの解剖や様々なリンパ管造影について概説を行う.