[III-PSY4-02] 難治性乳び胸水に機を逃さず追加治療を行うために-リンパ管シンチグラフィースコアの作成-
キーワード:乳び胸, リンパ管シンチグラフィー, リンパ漏
【背景】先天性心疾患(CHD)術後乳び胸で、胸水流出期間が長く、胸水量が多い場合、リンパ管塞栓やリンパ管静脈吻合が検討される。その適応決定や施行準備には時間を要するため、機を逸さず治療を行うには乳び胸発生早期に高リスク症例を抽出する必要がある。リンパ管シンチグラフィー(LS)は比較的簡便にリンパ動態の評価が可能だが、このコホートのリスク分類における報告は少ない。【目的】LSを用いて、乳び胸水流出期間が長く、量の多い症例を予測する。【方法】対象は2019年1月~2022年1月にCHD術後乳び胸水に対しLSを施行した40例。正常所見3項目(①胸管確認可、②下肢から上半身までの滑らかな線状集積、③下半身の核種停滞なし)に対して各1点ずつ、異常所見3項目(①皮下集積、②網目状、びまん性集積、③腹腔内集積)に対して各-1点ずつをつけ、合計をLSスコア(-3~3点)とした。LSスコアとドレーン留置日数、胸水排出量20ml/kg/日の日数(High volume日数、HV日数)との関連を検討した。【結果】LS施行時日齢中央値(IQR) 84日(32~589日)、術後日数7.5日(14~24日)、LS スコア 0.625±1.853点(平均±SD)であった。ドレーン留置日数27日(20~50日)、HV日数9日(2~16日)、HV日数が10日以上の症例は18例で、死亡例8例中7例がこれに該当した。ドレーン留置日数、HV日数はLSスコアが低いと有意に長かった(相関係数-0.345 p<0.05、相関係数-0.414 p<0.05)。HV日数が10日以上の症例はLS score-1点以下で有意に多く(8/9例 vs 10/31例, p<0.05)、このカットオフ値での特異度・感度は96%・44%であった。【考察・結論】LSスコアはドレーン留置日数、HV日数と関連した。このスコアを用いることで、胸水流出期間が長く量の多い症例を、高い特異度で抽出できる可能性がある。