[III-PSY4-03] リンパ管画像診断におけるリンパ管シンチグラフィの役割
Keywords:リンパ漏, リンパ管シンチグラフィ, リンパ管画像診断
【背景】リンパ管治療の進歩に伴い,リピオドール®造影リンパ管グラフィ(LCL),リンパ管シンチグラフィ(LS),非造影MRリンパ管グラフィ(NCMRL),動的造影MRリンパ管グラフィ(DCMRL)などの重要度が高まっている.しかし,それぞれ長所と短所があり,症例に応じた選択が迫られる.LSは空間分解能が低いものの簡便であり,リンパ管動態を捉えることもできる.【目的】リンパ管画像診断においてLSが果たす役割を明らかにすること.【方法】2018年1月から2022年12月までの5年間に,当院でLSを施行した19例(年齢:5.7±7.1歳)を対象とし,背景,追加検査,病態,治療,転帰などについて院内データベースまたは診療録より抽出し比較検討した.【結果】背景は3群に大別され,乳糜心嚢水/胸水(A群)11例,術前乳糜胸水リスク評価(B群)3例,Fontan術後リンパ管異常(C群)5例であった.A群の病態は肺内リンパ管逆流症候群(PLPS)7例,中枢リンパ流障害(CLFD)3例,損傷漏出(TD)1例であった.PLPSのうち2例はNCMRL/DCMRLで診断し胸管塞栓/破砕で改善,1例はCLFDから所見変化ありLCLを行い改善,4例は保存的治療で3例改善/1例死亡した.CLFDのうち1例は胸管破砕したが死亡,1例は胸管結紮したが死亡,1例は保存的治療継続したが死亡した.TD症例は保存的治療で改善した.B群3例は異常なく,術後乳糜胸水もなかった.C群は肺門部リンパ管異常(HLD)疑い2例,乳糜腹水(CA)疑い1例,複合リンパ管異常(MLD)1例であった.HLD疑いはDCMRL/NCMRLしたが異常指摘できず,CA疑いは異常なし,MLDはLCLで静脈角狭窄が判明しステント留置で改善した.【まとめ】LSは,中枢リンパ管が関係するリンパ漏出性疾患の病態を把握するための起点として有用な検査である.