[III-PSY4-06] 当院で行っているFontan術後の難治性PLEに対する肝内リンパ瘻塞栓術について
Keywords:タンパク漏出性胃腸症, 肝内リンパ瘻塞栓, フォンタン手術
【緒言】当院ではFontan術(以下F術)後の難治性PLEに対する肝内リンパ瘻塞栓術を2020年より開始し, 2021年に有効性を発表した. 追加症例を含めて報告する.【対象】2020-2023年に肝内リンパ瘻塞栓術を行った4例, 計6セッション.【方法】全身麻酔下に経皮的に肝臓内グリソン鞘を穿刺, 造影し, リンパ瘻を確定診断した後にNBCAを用いて塞栓した.【症例1】13歳女児. 内臓逆位, 単心室, 肺動脈閉鎖. 3歳時にF術(開窓なし)が行われ, 12歳時にPLEを発症. Alb 1.8g/dL, CVP 9mmHg, SpO2 90%. 左側より穿刺, 塞栓術を実施しAlb 3.5g/dLに上昇した. 1年間の輸血依存から離脱した. 1年後に2回目の塞栓術を行なった. 【症例2】27歳女性. 内臓正位, 三尖弁閉鎖症. 1歳時にF術(開窓あり)が行われ, 11歳時にPLEを発症. Alb 1.7g/dL, CVP 12mmHg, SpO2 90%. 右側より穿刺, 塞栓術後2週間でAlb 3.5g/dLに上昇した. 以降再燃なし. 【症例3】14歳女児. 内臓正位, 左心低形成症候群. 1歳時にF術(開窓あり)が行われ, 5歳時にPLEを発症. Alb 1.6g/dL, CVP 10mmHg, Sat 94%. 右側より穿刺. 塞栓術を行ったが明らかな改善なし. 【症例4】17歳男性. 無脾症候群, 単心室. 1歳時にF術(開窓なし)が行われ, 3歳時にPLEを発症. Alb 1.3g/dL, CVP 10mmHg, Sat 92%. サイズの大きい肝左葉を穿刺したがリンパ瘻を同定できず, 2回目のセッション時に右葉を穿刺しリンパ瘻を同定した. 塞栓術を行ったが改善なく3回目のセッションを予定している. 【考察】リンパ瘻の描出・塞栓術は5/6セッションで, 改善は3/6セッションに認められた. 腹部内臓位が複雑な場合の左右アプローチについては, リンパ瘻があると思われる十二指腸 2nd portion側から穿刺すると良いと考えられた.