シンポジウム10（III-SY10）
大人になった彼らを診た今、フォンタン治療計画を再考する

[III-SY10-03] Fontan循環に心房機能が与える影響: 心房機能と血行動態パラメーターとの関連

^○赤澤 祐介^1,5, 井上 勝次¹, 河本 敦³, 宮田 豊寿², 千阪 俊行³, 太田 雅明³, 髙田 秀実^3,5, 打田 俊司^4,5, 池田 俊太郎^2,5, 檜垣 高史^2,3,5, 山口 修^1,5 (1.愛媛大学 大学院医学系研究科 循環器・呼吸器・腎高血圧内科学講座, 2.愛媛大学 大学院医学系研究科 地域小児・周産期学講座, 3.愛媛大学 大学院医学系研究科 小児科学講座, 4.愛媛大学 大学院医学系研究科 心臓血管・呼吸器外科学講座)

キーワード：Fontan, 心房機能, 2D speckle-tracking echocardiography

【背景】心房機能は正常構造心において拡張機能などの非侵襲的な評価指標として重要である.しかし, Fontan術後において心房機能と侵襲的血行動態パラメーターとの関係については明らかではない. 【目的】2D speckle-tracking echocardiography (STE)を用いてFontan術後患者の心房機能を検討し, 侵襲的血行動態パラメーターとの関連を明らかにする. 【方法】2015年1月から2022年12月までの期間中に, 心臓カテーテル検査及び経胸壁心エコー検査の双方を24ヶ月以内に施行されているFontan術後症例43例を対象とした. EchoPACによる解析で共通心房の Reservoir (res), Conduit (con), Pump (act)時相それぞれの global longitudinal strain (ε;) を計測し, 心臓カテーテル検査の圧パラメーターとの関連を調査した. 【結果】Fontan術後はbooster pump, reservoir, conduit機能が低下していた. 特に年齢とともにreservoir, conduit機能が低下傾向にあった(ε;res: R=-0.53, p<0.001, ε;con: R=-0.49, p<0.001). STEと圧パラメーターとの関連において, booster pump/reservoir ratio(ε;act/ε;res) とCVP, PCWPと間に弱い負の相関性を認めた(CVP: R=-0.38, p<0.05, PCWP: R=-0.32, p<0.05). 特に心室のmorphologyがLVの群に限定するとbooster pump機能とCVP, PCWPに正の相関性を(CVP: R=0.44, p<0.05, PCWP: R=0.65, p<0.005), booster pump/reservoir ratioとCVP, PCWPに負の相関性を認めた (CVP: R=-0.44, p<0.05, PCWP: R=-0.55, p<0.01). 【考察】Fontan循環では心拍出量は低い前負荷に規定される. 特に心室拡張機能が低下したFontan術後において, 心房による後押しは心拍出量を維持するために重要であり, booster pump機能の低下は心房・心室充満圧の上昇を招く可能性がある. 【結論】Fontan術後はbooster pump機能やbooster pump/reservoir ratioが侵襲的血行動態パラメーターを反映している可能性がある.