[III-SY11-04] 小児複雑先天性心疾患の手術術式の決定を支援するマルチケース・マルチフィジックス心臓シミュレータ “Ped UT-Heart” 開発のための前向き・介入研究
[背景] 先天性心疾患の外科治療では、成長する小児患者の長期にわたるQOLを良好に維持するために、手術前に術後の心機能を含めた循環動態を適切に予測し、術式を決定する必要がある。東京大学およびUT-Heart研究所では、患者の心臓を分子・細胞機能を基にin silicoで忠実に再現する心臓シミュレータ“UT-Heart”の開発を進めてきた。今回はこのシステムを基盤として、小児先天性心疾患に特化した“ped UT-Heart”を新たに開発し、有用性評価のための臨床研究を実施中である。
[対象]複雑先天性心疾患15例、年齢は生後7m-12y (中央値2y9m)、診断はDORV+PS 3、TGAIII 2、ccTGA 2、HLHS 2、PTA 1、atypical TOF 1, recurrent SAS 1、CILV 1、crisscross 1、p-AVSD (LIH) 1。
[方法]多施設、前向き、単群、非盲検、介入による特定臨床研究。まず患者の心電図、MSCT画像情報、心カテ・造影所見から、術前の心拍動を伴う循環動態をコンピュータ上に再現する。次に外科医が提案する複数の術式の3次元画像を作成し、術前パラメータを変えることなく各術式の術後の心機能と循環動態を解析予測する。最後に全ての結果を、動画を含むレポート形式で外科医に提供し、手術後に術式決定における有用性評価を実施する。主要評価項目は術者の術式選択における有用性の総合評価(Likert scale)とする。
[結果と結論]術前シミュレーションでは、心室圧・心室容量・拍出量、肺動脈・大動脈圧、酸素飽和度を実測値と良好に近似再現できた。仮想術式の画像も外科医の指示にて良好に作成でき、術後シミュレーション解析に資することができた。現時点で12例のシミュレーションと6例の手術を終え、患者は有害事象なく良好な経過を辿っている。今後は治験を実施し、医療機器申請から同承認を目指す予定である。
(本システムはジャパンメディカルデバイス(株)、PIA(株)、(株)UT-Heart、(株)クロスメディカル(株)との共同研究開発による。)
[対象]複雑先天性心疾患15例、年齢は生後7m-12y (中央値2y9m)、診断はDORV+PS 3、TGAIII 2、ccTGA 2、HLHS 2、PTA 1、atypical TOF 1, recurrent SAS 1、CILV 1、crisscross 1、p-AVSD (LIH) 1。
[方法]多施設、前向き、単群、非盲検、介入による特定臨床研究。まず患者の心電図、MSCT画像情報、心カテ・造影所見から、術前の心拍動を伴う循環動態をコンピュータ上に再現する。次に外科医が提案する複数の術式の3次元画像を作成し、術前パラメータを変えることなく各術式の術後の心機能と循環動態を解析予測する。最後に全ての結果を、動画を含むレポート形式で外科医に提供し、手術後に術式決定における有用性評価を実施する。主要評価項目は術者の術式選択における有用性の総合評価(Likert scale)とする。
[結果と結論]術前シミュレーションでは、心室圧・心室容量・拍出量、肺動脈・大動脈圧、酸素飽和度を実測値と良好に近似再現できた。仮想術式の画像も外科医の指示にて良好に作成でき、術後シミュレーション解析に資することができた。現時点で12例のシミュレーションと6例の手術を終え、患者は有害事象なく良好な経過を辿っている。今後は治験を実施し、医療機器申請から同承認を目指す予定である。
(本システムはジャパンメディカルデバイス(株)、PIA(株)、(株)UT-Heart、(株)クロスメディカル(株)との共同研究開発による。)