The 59th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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シンポジウム

シンポジウム13(III-SY13)
治療を希望しない胎児先天性心疾患症例に対する小児循環器科医の対応はどうあるべきか?

Sat. Jul 8, 2023 11:00 AM - 12:30 PM 第6会場 (G301)

座長:石井 陽一郎(大阪母子医療センター小児循環器科), 座長:金 基成(国立成育医療研究センター循環器科)

[III-SY13-06] 出生前診断により治療差し控えを判断した症例の検討

石井 徹子1, 奥主 健太郎2, 安川 久美3, 濵田 洋通2 (1.千葉県こども病院 循環器内科, 2.千葉大学医学部附属病院 小児科, 3.東京女子医大八千代医療センター 小児集中治療科)

Keywords:出生前診断, 治療の差し控え, 連携

<背景>出生前診断により、家族は時に治療の差し控えを希望される。我々は現在に至るまでの治療成績を鑑みて基本方針を以下としている。左心低形成症候群(HLHS)、右側相同重症房室弁逆流(CAVVR)または狭窄のある肺静脈還流異常(PVO)合併、Circular shuntのエプスタイン奇形、左側相同に伴う完全房室ブロックは差し控えを考慮できる、上記以外は原則容認しないが重症と思われるものに関しては周産期チームカンファレンスにより決定する。5疾患は適宜見直す。<目的と方法>本発表では2018年4月から2023年1月までに治療差し控えを希望された3症例の周産期の対応をreviewし、問題点を明らかにすることを目的とした。<結果>HLHS2例、PVO1例で治療の差し控えを判断した。HLHS1例では、家族がお産を希望した地元の周産期センタースタッフと、方針決定までに数回の話し合いを必要とした。最終的に36週で治療差し控えの方針とした。3例とも誘発分娩の計画であったが1例は34週の早産となった。3例とも点滴はとらず、蘇生は行わない、NICUには入室しない方針で娩出した。HLHS2例はプロスタグランジンを使用せず、全例とも出生後母児同室個室管理とした。その後モニターは装着せず、頻回に訪室して経過を見守った。1例出生当日永眠、2例で退院が可能となり、自宅で看取りを行った。経過を通して治助産師、新生児医師により十分な家族の意思確認を、経過を通して行った。療差し控えの方針に迷われたご家族はいなかった。<結語>差し控えとは積極的な治療の差し控えであり、医療提供には医療スタッフのマンパワーや環境が必要であった。提供できる医療の限界を確認し、計画分娩などの必要があると思われた。地域医療との連携が必須であり、早めの連携、日常的な連携ができていることが望ましい。(研究協力者、尾本暁子、遠藤真美子 佐藤雅彦)