[I-CPD1-2] HBD for Childrenのめざすところ
キーワード:小児用医療機器, 日米産学官共同, HBD
小児用医療機器の開発は、小児疾患の症例数が少ないことによる市場規模の小ささ及び治験実施の困難さに加え、医療機器自体の形状・サイズについて、多様なバリエーションの少量生産が求められること、実臨床では複数の医療機器が使用され、かつ複数の治療法が組み合わせて実施されることから、対象患者や併用治療などの多様性があること、臨床的位置づけに対して求められる有効性及び安全性評価方法が確立しておらず評価項目の検討が困難であること等の課題がある。これらの課題から小児用医療機器開発の予見性は乏しく、成人用医療機器と比べ深刻な開発の遅れや、海外で頻用されている医療機器を日本で使用できるようになるまでのラグが生じている状況である。小児用医療機器の開発を促進するため、2016年よりHarmonization By Doing for Children(HBD for Children)が立ち上げられ、日米の産学官で日米国際共同治験の実施により医療機器開発を促進し、日米間の医療機器規制の整合を図る上で生じる問題点及びその解決策に関して実践に基づいた議論を行っている。本活動の一環として、これまでに小児用医療機器のHarmony経カテーテル肺動脈弁システム(メドトロニック社)における国際共同治験の円滑な推進のための登録患者要件や評価方法等の策定に協力してきた。その結果、Harmony経カテーテル肺動脈弁システムは小児用医療機器として初めて日米国際共同治験の実施が実現し、2021年に日米で承認を取得しており、本活動を通じた小児用医療機器の国際共同開発の成功事例である。現在、本活動では小児用医療機器の国際共同開発を継続的に進めるため、国際共同治験の実施に向けた協力の他、心疾患領域の定義の標準化や小児医療機器の開発における基本的な考え方の論文化等の議論を進めているところである。本タウンホールミーティングでは、本邦の小児用医療機器に関連する規制の枠組みや現状のHBD for Children活動の取り組みについても触れながら今後の方向性を紹介する予定である。