[I-CPD1-3] 日米産官学共同の先天性心疾患用ステント導入
キーワード:インターベンション, 小児医療機器開発, 肺動脈ステント
小児用医療機器開発には、小さい市場規模、疾患の希少性、サイズバリエーションの多さ、成長発達を考慮する必要性といった普遍的な問題や、それに伴って企業の収益性に問題が生じ、産官学単独では解決困難な課題が山積している。HBD for Childrenの活動では、これまで複数の小児用医療機器開発を日米の産官学の協力で実施し、一定の成果を挙げてきた。しかし、さらなる現状の改善が求められており、2023年に、AMED藤井班「小児用医療機器開発を推進する環境整備に関する研究」が採択され現在進行中である。同研究課題ではHBD for Childrenの活動とJCIC-Registryを基盤とした環境整備が軸となっている。具体的な課題として、小児用医療機器の製造販売後データベース調査等に用いる各評価項目を、医療機器の安全性の管理および有効性の評価が担保される中で最小化する「Minimum dataset」の概念および利用方法を産官学で合意形成し、運用体制を確立する試みがなされている。現在、具体的なPOCとして候補に挙がっている肺動脈ステントに関して、近く実施が想定されるCPステントを題材としてMinimum datasetの策定を行っている。肺動脈ステントに関しては、臨床試験における普遍的で一貫性のある評価項目の定義を作成することを目的とした、Academic Research Consortium(ARC)の活動が行われている。本ARC活動は、小児、先天性心疾患領域における初の試みであり、基礎疾患と各病変の多様性や将来的な成長を加味する必要があることからより綿密な合意形成が必要であり、それらの課題克服に向けて議論がなされている。また、本研究課題では、新規医療機器の導入における管理体制の強化として、施設基準、術者基準の運用方法の確立、新たなニーズの発掘を念頭においた未承認の医療機器のoff-label useの実態調査が並行して行われている。