[I-CPD2-2] 小児循環器科が働き方改革を乗り切るには?
―人材育成方法のシフトチェンジこそ人材発掘の切り札ー
Keywords:働き方改革, 教育論, 人材育成
当院の循環器小児科のフェローの応募人数は、2010年代後半から減少、2019年には1人まで減った。従来の伝統的徒弟制度をもとにした厳しい職場環境と人材育成方針を2021年から大きく転換した。高い目的意識と心理的安全性を保った職場環境を作るべく、若手が自由に発言し、上級医が常におだやか態度で聞き、上級医は指導的な言動および態度をもって積極的に診療について話し、相互のアサーティブコミュニケーションを確立することとした。教育はコーチングや認知的徒弟制度の方法論を活かし、one on oneミーティングを定期的に施行、若手医師が自ら目標を立て到達できるように援助、モチベーションの維持を促した。さらに、研究分野では、信州大学の連携大学院制度を導入、こども病院循環小児科での臨床研究で博士課程を習得できるようにした。(信州大学の小児科とは無関係)2023年に初めて一人目が卒業、ポスドクとしてこども病院のサポートを受け米国留学中である。現在、循環器小児科の大学院生は3名いて、U-40の医師が毎年、日本循環器学会、AHA、ESCに発表している。我々は、”Raise The Next Generation is Greatest Heritage”のスローガンのもとに、方法論を大きくシフトチェンジし、職場環境の整備と人材育成に努めてきた。その結果、優秀な人材が集まり、フェロー(安定して4-5人)、上級スタッフともに増員、循環器小児科は常に医師数が10人以上となり、リアルにA水準をクリアするまでになった。小児循環器科医は、高度な小児循環器診療を行う医師であるとともに人材育成も行う”教師”でもある。働き方改革の中であるからこそ、上級医が教育の方法論を学び、若手ひとりひとりに心を配って育成する、それがチームの力を最大限に発揮させ、よいより医療を継続的に患者に届けることに繋がると考える。