第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

委員会企画パネルディスカッション

委員会企画パネルディスカッション2(I-CPD2)
ダイバーシティ時代の小児循環器医療のあり方を考えよう(共催:日本医師会)

2024年7月11日(木) 14:50 〜 16:20 第4会場 (4F 411+412)

座長:武田 充人(北海道大学大学院医学研究院 小児科学教室)
座長:津村 早苗(大阪母子医療センター 心臓血管外科)

[I-CPD2-4] 働き方改革「張り付かない」心臓外科医 〜当院のタスクシェア・タスクシフトの実際〜

津村 早苗1, 金谷 知潤1, 三輪 晃士1, 手繰 優太1, 青木 寿明2, 清水 義之3 (1.大阪母子医療センター 心臓血管外科, 2.大阪母子医療センター 小児循環器科, 3.大阪母子医療センター 集中治療科)

キーワード:働き方改革, タスクシフト, タスクシェア

小児循環器領域、特に心臓外科領域では、従来は手術後に患者ベッドサイドに張り付いて管理し、その翌日もそのまま手術を行うというのが当たり前で、私生活を犠牲にするのは当然であった。しかし、2024年4月に「医師の時間外労働時間の上限規制」が導入され、通常の診療を維持するためには、タスクシェアやタスクシフトの導入が不可欠となった。当院では、2010年から小児集中治療(PICU)専属医の配置を開始し、段階的に増員、2024年3月現在、13名のPICU専属医が周術期管理を含む集中治療に従事している。また、医師の業務支援として、37名の医療事務作業補助(メディカルクラーク)が配置されており、文書作成の補助や検査オーダーの代行入力などを行っている。当院の心臓外科医は4名で、2023年の総手術件数は208例(うち開心術113例)であったが、時間外勤務は十分に抑制され、上限規制A水準でも対応できる状況となっている。タスクシェア・タスクシフトに成功している一方で、若手医師の育成や教育に関する新たな課題が生じる。過去の「ベッドサイド張りつき管理」は過酷な労働である反面、多くの学びとなることも事実であり、働き方改革と育成で葛藤が生じる。これらの課題をいかに克服し、より良い働き方改革を行うかを含め、当院での取り組みを報告する。