[I-CSY2-2] 社会保障制度の使いどころ
キーワード:先天性心疾患, 社会保障制度, 医療ソーシャルワーカー
【はじめに】先天性心疾患児(者)には、医療費助成制度や障害者手帳など様々な社会保障制度(以下、制度)が存在する。また、ニーズを反映した法整備や法改正も活発に行われるようになってきている。しかし、その一方で、制度が複雑化している。そのため、どの制度を選択すべきかが、医療者側にも患者・家族側にも分かりにくい状況となっている。今回は、医療のなかの社会福祉専門職である医療ソーシャルワーカーの立場から、制度の使いどころを解説する。【子ども医療と小慢】先天性心疾患は、小児慢性疾病医療費助成事業(以下、小慢)の対象疾病である。しかし、全国的に乳幼児・子ども医療費助成制度(以下、子ども医療)が拡充している影響で、小慢を利用せずに、子ども医療だけを選択するケースが増えている。小慢は、電気たん吸引器や車いすなどの日常生活用具の購入助成がある。また、継続していれば、20歳未満まで利用できる。さらに、小慢児童とその家族の生活相談や、就園・就学・就労などの関係機関と連携して支援する自立支援事業もある。これらは、子ども医療にはないサービスなので、子ども医療があっても、適宜小慢利用を検討する。【難病】先天性心疾患は、すべてではないが、難病の対象疾患にもなっている。難病は、医療費助成だけではなく、障害者手帳が無くても障害福祉サービスが利用できる。また、就労支援に関しても様々なサービスがある。ただし、難病単体では、障害者雇用促進法の障害者の法定雇用率にはカウントされないため、取得できる場合は、障害者手帳を検討する。【障害者手帳】先天心疾患は、障害者福祉法の認定基準を満たせば、身体障害者手帳の取得が可能である。障害者手帳は、公共交通料金の減免、税制面の優遇、療育サービスなどの障害福祉サービスの利用、就労支援など、生涯的に利用できる。また、知的、発達、精神の障害を併存する場合は、他の障害者手帳の取得を検討する。