[I-JHRSJS-4] 先天性心疾患に伴う心室不整脈に対する抗不整脈薬の使い方と課題
Keywords:抗不整脈薬, 心室不整脈, 先天性心疾患
先天性心疾患患者の多くが成人に達する時代になり、先天性心疾患の半分以上は成人である。成人に達した先天性心疾患患者の死因として、心機能低下に伴う心不全と併せて問題になってくるのが不整脈である。とくに、心室不整脈は心臓突然死を引き起こすことがしばしば問題となる。小児期術後の器質的心疾患を伴った不整脈治療においては、薬物療法、カテーテルアブレーション、植込み型除細動器などのデバイス治療、外科的手術治療がある。このうち、カテーテルアブレーションを含む非薬物治療の技術進歩は目覚ましいものがある。一方、薬物治療は非薬物治療と比較して侵襲性が低く、その使用方法および薬剤特性を医療者は熟知しておく必要がある。器質的心疾患に伴う心室不整脈に対する抗不整脈薬としては、急性期はアミオダロン、ニフェカラント、プロカインアミド、ランジオロール、ランジオロールの各種静注薬、慢性期はアミオダロン、ソタロール、ベプリジル、β遮断薬の各種経口薬が使用される。一方、先天性QT延長症候群、ブルガダ症候群、早期再分極症候群、カテコラミン誘発性多形性心室頻拍、不整脈原性右室心筋症といった遺伝性不整脈患者も心室不整脈から心臓突然死を起こす危険があるためにしばしば治療に難渋する。とくに、遺伝性不整脈患者の妊娠およびその周産期管理における抗不整脈薬治療は母体のみでなく胎児への影響を含めて十分な配慮をしなければならない。また、近年遺伝性不整脈患者に対して遺伝子診断が積極的に行われるが、遺伝学的検査を行う際の遺伝カウンセリングについては留意しなければならない。本セッションにおいて、先天性心疾患に伴う心室不整脈に対する抗不整脈薬の使い方と現在の課題について、当院における自験例を提示しながら皆様と知識を共有したい。