[I-OR01-02] Results of palliative surgery for transition to home medical care in Trisomy 18 with congenital heart disease
Keywords:18トリソミー, 姑息手術, 肺動脈絞扼術
【背景・目的】先天性心疾患を有する18トリソミーの1年生存率は10%未満と不良である。当院では姑息手術により在宅医療へ移行できる可能性があり、家族から積極的な手術希望がある場合に姑息手術を施行してきたのでその成績について後方視的に検討した。【対象・方法】2006年1月~2023年12月までNICUへ入院した全18トリソミー34例のうち、先天性心疾患を合併した18トリソミー32例を対象とした。心疾患はVSD24例、DORV5例、AVSD2例、TAC1例であり全て高肺血流の血行動態であった。積極的に肺動脈絞扼術を行ったPAB群14例と行わなかったNon-PAB群18例について比較検討した。<PAB群(n=14)>主肺動脈絞扼術(mPAB)+PDA結紮13例,両側PAB1例(TAC)。手術日齢28(19-51)日、手術体重1693(1354-1924)g。左開胸5例、胸骨正中切開9例。mPAB周径(mm)は(BW+22.5)1例,(BW+22)2例,(BW+21)2例,(BW+20.5)2例,(BW+20)3例,(BW+18)3例,最終mPAB流速3.1(3.0-3.5)m/s。手術死亡なし、在院死亡2例(壊死性腸炎,重度低血糖)。【結果】Non-PAB群において在胎週数が短い傾向(38週0日vs 37週0日)であり、出生体重(1763g vs 1634g)、Apgar score(3.5/6.5点vs 3.0/6.0点)も共に低い傾向であったが、有意差は認めなかった。在宅移行率はPAB群11例(78.6%)に対してnon-PAB群2例(11.1%)であり有意にPAB群で高かった。最終予後の生存例はPAB群の2例のみ(8歳0ヶ月、2歳8ヶ月、他施設でVSD根治術施行)であったが、生存日数PAB群438(153-1963)日、non-PAB群74(2-284)日と有意に延長が得られ、また1年生存率も53.9%、12.5%と有意にPAB群で改善を認めた。【結語】姑息手術による18トリソミーの予後改善とは言い難いが、当科PABによる在宅医療移行率は約80%であり、生存日数の延長により家族と過ごせる貴重な時間の確保に寄与できたと考えられた。十分な説明のもと、家族の希望を考慮し、症例毎に重症度や合併疾患に応じた治療方針の選定が重要である。