[I-OR01-05] Two families with Filaminopathies
Keywords:FLNA, 僧帽弁閉鎖不全, 伴性潜性遺伝
フィラミンA(FLNA)はX染色体長腕上のアクチンと細胞膜の糖タンパクを架橋する蛋白であり、細胞の形態・遊走に関与している。本蛋白の異常により脳室周囲白質病変などの様々な異常を呈する。フィラミン異常症はかつては男性では重症例が多く致死的とされ、生存者は少ないとされてきた。今回成人期まで生存した男性を中心としたFLNAの変異を有する2家系について報告する。【症例1,2】一卵性双生児の29歳男性二名 いずれも出生時に心雑音からlarge VSD, severe MR, TRを認め、11ヶ月時にVSD closure+MVPを施行された。兄はMRの進行から4歳時にre-MVPを追加し、24歳時に不整脈に対しRFCA施行。房室弁はfloppyで、皮膚の過伸展を認めている。兄の遺伝子検査を実施し、FLNA c.853C>T(p.Arg285Cys)を認めた。【症例3】診断時17歳男児 4ヶ月時にMR moderateを指摘、16歳時に皮膚の過伸展などから結合組織疾患を疑われ遺伝子検査を施行、症例1と同じ変異を認めた。【症例4】診断時34歳男性、症例3の異父兄弟 2ヶ月時にlarge VSD, severe MRと診断、9ヶ月時にVSD closureを受けたが、MRの進行から9歳時にMVP施行。16歳時にAFLでRFCA。本患者でもFLNAの同じバリアントを検出。(症例5)症例4の4歳の長女 心エコーを施行したところ、症例3,4同様の僧帽弁のfloppyな形態異常を認めた。 FLNA p.Arg285Cysは既報では一例のみでClinVarでは病的意義不明と収載されているが、今回全く別の2家系で検出し、ほぼ同じ病像を示していることから病的バリアントである可能性は相当に高いと考えられる。本症の男性は通常重症であるが、手術や適切な管理がなされていれば普通の社会生活を送ることが出来ることを含め、報告したい。