[I-OR03-04] The factor of negative treatment decision-making for fetal cardiac disease
Keywords:胎児診断, 先天性心疾患, 消極的治療の選択
【背景】胎児心臓診断の早期化と多様化が進む中、人工妊娠中絶(TOP)や生後の積極的な治療介入を選択しない事例が少なからず存在するが、日本では「胎児心臓診断が消極的治療の選択にどのように影響するか」に関する情報は少ない。【目的】当院における胎児心臓診断において消極的治療の選択に関連する因子を検討し、今後の課題を明確にする。【方法】2017年10月から2024年1月に当院で先天性心疾患と胎児診断した294例を対象に、消極的治療の選択を「TOP」「生後の外科治療希望なし」とし、初回胎児診断週数・先天性心疾患の重症度・染色体異常の有無を後方視的に比較検討した。先天性心疾患の重症度は既報の重症度分類に基づきsevere群(s群)とnon severe群(ns群)に分類した。【結果】胎児診断294例中初回胎児診断週数22週未満は65例、うち29例(44.6%)がTOPを選択した。 染色体異常は7/10例(70%)がTOPを選択し(p=0.1)、染色体異常を除く55例中、s群19/28例(67.9%)、ns群3/27例(11.1%)がTOPを選択した (p<0.01, OR 16.9)。初回胎児診断週数22週以降の229例中12例(5.2%)が生後の外科治療希望なしを選択した。染色体異常8/14例(57.1%)(p<0.01, OR 70.3)は全例trisomy 18、染色体異常を除く215例中生後の外科治療希望なしを選択した4例(1.9%)はHLHS, IAS/RFO 3例, Critical AS 1例(p<0.01, 修正OR 22.5)だった。初回胎児診断週数22週未満(p<0.01, OR 14.6)、重症度(p<0.01, OR 3.9)、染色体異常(p<0.01, OR 15.6)はいずれも消極的治療の選択に関連した。【考察】22週未満では疾患の重症度がTOP選択に関連する一方、22週以降ではcriticalな疾患以外は消極的治療の選択は少なく、染色体異常で高率だった。特に診断が困難な妊娠早期において、胎児心臓診断は消極的治療の選択の明確な関連因子となっており、診断精度の向上と正確な情報提供、重症度に応じた包括的診療体制の構築が課題と考えられた。