[I-OR04-01] Strategy for the therapeutic intervention in the patient with pulmonary atresia/ventricular septal defect complicated with multiple airway stenosis
Keywords:複雑心疾患, 気管支狭窄症, 肺高血圧症
右左短絡を伴う先天性心疾患に気道疾患を合併すると酸素飽和度は換気・肺血流・ミキシングの3つの要素により決定されるため煩雑な管理を要する。複数の気道狭窄を合併したチアノーゼ性心疾患の管理において、これらの3要素に留意した治療戦略を行った症例から気道疾患合併症例の管理を考察した.症例:在胎30週に胎児機能不全のため他県総合病院で緊急帝王切開で出生.出生体重 1297g, Apgar 1/3. 肺動脈閉鎖・心室中隔欠損症および食道閉鎖を診断され当院搬送となった. 頻繁に換気不良を認め, 気管攣縮が疑われ深鎮静下に食道気管交通閉鎖, 胃瘻造設を施行した. 生後4か月, 体重2157gで右気管支高度狭窄, 左主気管支および末梢多発狭窄に加え, 気管支肺異形成を診断した. 肺血流変動要素の除外のため, 弁付導管を用いた修復術を施行した. 換気は不安定だが酸素化は安定した. 肺保護目的にauto-PEEP管理を目指し抜管, 前医に逆搬送した. 4か月後, 体重増加不良と呼吸障害のため再度転院. 多発気道狭窄および慢性肺疾患による肺高血圧に伴う肺動脈逆流と肺高血圧症, 左室拡張障害による循環不全と判断し, Contegra graft (12mm)を用いた導管交換を行った. 術後も呼吸障害は遷延し, 肺高血圧症と右心系拡大・左室拡張障害に対して利尿薬および肺血管拡張薬を併用し, 次第に体重増加が得られた.5.4kg, 2歳を機に退院した. 右心不全治療を強め成長を待機し,5歳時の評価で気管支形態および末梢多発気道狭窄の改善傾向, 右室圧低下と右心系縮小, 左室拡張障害改善を認めた.総括:シャント依存性肺循環に気道病変を合併すると, 血流と換気が相互に影響しあうため,無意識に肺病変を増悪させる循環を形成する可能性がある. 特に気管支肺異形成は心房中隔欠損症のような短絡でも増悪因子となることが指摘されており, 肺血流の変動を最小限にする心内修復術が治療の前提となる症例が存在する.