[I-OR04-02] Prognosis of ventricular septal defect after remaining 1 year of age
Keywords:心室中隔欠損症, 自然閉鎖, 手術
【はじめに】短絡量の多い心室中隔欠損症(VSD)は乳児期に手術が行われることが多くなり、乳児期以降の手術は主に大動脈弁逸脱が適応になっている。一方、短絡量の少ないVSDでは自然閉鎖例も多いが、中には経過観察に注意を要する症例もあると考えられる。【対象】2011年1月から2020年12月までの10年間で、生後6か月以内に当院を初診した筋性部以外のVSDのうち、1歳以降まで短絡が残存した症例(未手術例)。13、18トリソミーなどの重篤な染色体異常は除外した。【結果】対象は150例。性別は男65例、女85例。初診時年齢は日齢0~5か月(中央値日齢30)、観察期間は9か月~9年7か月(中央値3年9か月)であった。合併疾患はダウン症候群5例、ウィリアムズ症候群2例、22q11欠失症候群1例などであった。欠損孔の心エコーによる分類はI型が13例、II型が137例。経過観察中に17例(11.3%)が手術適応と判断された。このうち16例が大動脈弁逸脱での手術適応であり、I型7例、II型9例であった。133例が保存的に経過観察され、自然閉鎖が確認でき受診終了したものが85例(56.3%)であった。48例は経過観察中、短絡が残存した。逸脱の可能性が否定できないものが3例(I型1例、II型2例)あった。自然閉鎖確認前に受診が自己中断しているものが5例あった。死亡は1例あったがVSDと無関係の(乳幼児突然死症候群であり、感染性心内膜炎発症例はなかった。【まとめ】1歳以降残存したVSDでも半数以上が自然閉鎖し、短絡残存例は約3分の1であった。大動脈弁逸脱が約1割に認められ、I型でその比率が高かった。自然閉鎖が確認できないもの、逸脱の可能性があるものの経過観察については、患者教育を含め今後も検討が必要である。