第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

一般心臓病学

一般口演4(I-OR04)
一般心臓病学

2024年7月11日(木) 13:10 〜 14:10 第6会場 (4F 401-403)

座長:中山 智孝(高知赤十字病院 小児科)
座長:長井 典子(岡崎市民病院 小児科)

[I-OR04-05] 肺動脈低形成・重症末梢性肺動脈狭窄病変に対する治療コンビネーションについての再考

淺野 聡1, 瀧聞 浄宏1, 成田 昌央1, 結城 智康1, 志水 利之1, 澁谷 悠馬1, 米原 恒介1, 赤澤 陽平1, 武井 黄太1, 小嶋 愛2, 小沼 武司2 (1.長野県立こども病院 循環器小児科, 2.長野県立こども病院 心臓血管外科)

キーワード:カテーテル治療, 肺動脈狭窄, 肺動脈形成術

【背景】肺動脈低形成・重症末梢性肺動脈狭窄は単心室循環・二心室循環いずれにおいても、積極的な治療介入を要する。当院では内科治療としてバルーン形成術やステント留置術、外科治療としてシャント術や肺動脈形成術を組み合わせている。
【目的】当院の肺動脈低形成・重症末梢性肺動脈狭窄病変に対して、どの治療の組み合わせが肺動脈の拡大に有効か後方視的に検討する。
【方法】2000年から2023年に行った血管造影検査で、末梢性肺動脈狭窄(6弓の低形成)の症例のうち、PA indexが50未満もしくはPA indexが50以上100未満で片側の肺動脈径のz score<-5の症例を組み入れ、左右の肺動脈病変について検討した。主要体肺動脈を伴う症例、完全大血管転位症例、Allagille症候群と確定診断されている症例は除外した。PA indexの経過、肺動脈のz scoreの経過、ステント留置術や外科治療のタイミングなどについて検討した。
【結果】18症例36病変のうち、肺動脈径がz score<-5の病変は23病変で、死亡例を除くと22病変であった。治療介入前後のz scoreの変化率をΔz scoreと定義し、Δz scoreが+3以上の病変をA群、+3未満の病変をB群とした。介入前z scoreはA群vs B群で中央値-6.9 vs -6.2(P=0.33)で有意差なかった。Δz scoreはA群 vs B群で+4.4 vs +1.3(P<.001)であった。両群間で介入方法の組み合わせに差はなかったが、A群ではstent留置後の遠隔期に十分な外科的ステント切開術をした病変や外的な圧迫に対するstent留置した病変が比較的存在した。
【考察】肺動脈低形成・重症末梢性肺動脈狭窄は、stent切開などの手術やstent留置術の組み合わせにより肺動脈発育を促せる可能性がある。