[I-OR05-03] Surgical results of Pulmonary valve sparing for TOF repair
Keywords:外科治療, ファロー四徴症, 肺動脈弁温存
【背景】ファロー四徴症(TOF)では遠隔期の右室機能維持や不整脈予防のためには肺動脈弁機能の温存が重要であるが、術式については一定の見解はない。当科では肺動脈弁温存の観点から乳児早期までの心内修復を避け、生後6ヶ月以降で体重7kg以上を目安にValve slicing(VS)法を用いた肺動脈弁温存を基本方針としている。【目的】当科で施行しているTOFに対するVS法を用いた肺動脈弁温存手術に関して、その手術成績および中遠隔期の肺動脈弁機能に関して後視的に検討する。【方法】対象は2013年1月以降にVS法を用いて根治手術を施行した53例(男34女19)。根治時の月齢14(5-197)ヶ月、体重8.8(4.7-53.9)kgで、体肺動脈短絡を20例(38%)で施行。房室中隔欠損2例(3.8%)、左冠動脈肺動脈起始1例(1.9%)、部分肺静脈還流異常1例(1.9%)を同時修復。術前エコーでは肺動脈弁輪径は中央値8.8(5.3-12.5)mm、正常比74%(42-104%)で、z-score(Daubeney)では-2.95(-8.03-+0.35)であった。【結果】手術時間294±89分、人工心肺200±57分、遮断時間126±33分。在院死亡は1例(気管軟化症・21trisomy:肺炎・気道出血・呼吸不全)。ICU滞在2.6±1.5日、術後在院日数12.3±5.6日。退院前のエコーではPS流速2.6±0.6m/s、PR none-trivial 25例(48%)、mild 24例(46%), moderate:3例(6%)であった。術後観察期間は中央値22(1-111)ヶ月で、中遠隔期死亡はなし。2例でPS進行によりRastelliへの移行を要したが、残り50例(96%)で自己弁温存されている。中期フォローのデータを確認できた29例では、PS流速:2.1±0.6m/sと狭窄緩和を認めた。PRはnone-trivial 5例、mild 13例、moderate:10例、severe 1例と増悪傾向を認めるも、右室容量負荷や右室拡大による再介入は要していない。【結語】狭小弁輪症例であってもVS法により多くの症例で自己肺動脈弁を温存できている。ただし、PRは緩徐増悪傾向であり、右室機能含めたさらなる遠隔期のフォローを要する。