[I-OR05-05] In Vitro Study of The Structural Characteristics of a Newly Pediatric Pulmonary Valved Conduit
Keywords:右室流出路再建, チアノーゼ性心疾患, 肺動脈弁付き導管
【背景】幼少期の右室流出路再建では肺動脈弁付き導管が使用されるが、弁周囲の血栓形成や弁尖の可動性低下により狭窄・逆流が生じ、結果的に弁機能不全に陥る症例が散見される。そのため我々は以下の要領で弁付き導管を開発した。右室流出路の後壁中央にヒンジを持ち、弁尖が中央に折りたたまれることで開口し、弁尖が広がり人工血管内腔と密着することで閉鎖となるePTFE製二葉弁(Nunn, et. al. 2008)を基に、さらに以下の2つの構造を追加した。1、bulging sinusを人工血管前壁部分に形成し、拡張期血流を同部位に取り込むことにより弁尖の十分な閉鎖を促す。2、弁尖の右室寄りの端に小孔を設けることで血液のうっ滞を解消し血栓形成を予防する。【目的】今回開発した肺動脈弁付き導管のbulging sinusおよび小孔について、機能評価を行う。【方法】開発した導管(直径14mmのePTFE製人工血管に圧さ0.1mmのePTFE製シート弁尖を縫着;bulging sinusあり小孔あり:SF弁、bulging sinusあり小孔なし:SN弁、bulging sinusなし小孔あり:NF弁、bulging sinusなし小孔なし:NN弁、いずれもn=3)について動態を観察した。各導管を乳児期の血行動態を模した右心系模擬循環回路(流量700ml/min、肺動脈圧20-30/7-8mmHg)に組み込み、逆流率(漏れ量/順行性流量)と弁前後の圧較差について評価した。【結果】心拍数100/分、120/分、140/分において、逆流率(%)はSF弁6.1、5.3、3.4、SN弁4.1、2.6、0.9、NF弁6.9、5.7、3.7、NN弁4.1、3.1、1.7、圧較差(mmHg)はSF弁4.1、5.8、6.3、SN弁1.5、3.3、3.9、NF弁3.6、4.1、4.1、NN弁4.4、5.1、7.2であった。【結論】逆流率は小孔がある場合比較的高値となるものの、bulging sinusがある場合は低値となる傾向を認めた。一方圧較差は一定の傾向は見られないものの、いずれも低値であり臨床使用上許容できる値であった。弁葉および導管形状により、弁機能が向上する可能性が示された。