[I-OR06-01] ファロー四徴症術後症例における右室-肺動脈カップリング (Ees/Ea) の Surrogate指標としての RVFAC/TRPG の有用性 -肺動脈弁置換術前後の比較検討-
キーワード:右室ー肺動脈カップリング, Ees/Ea, ファロー四徴症術後
【背景と目的】右室-肺動脈カップリング (Ees/Ea) は右心循環動態を示す重要な指標であるが、計測方法が煩雑で侵襲的であり、簡便な代替心エコー指標が提案されている。TAPSE を sPAP で割った比率が最も一般的であるが、ファロー四徴症術後症例では右室自由壁が胸壁に癒着し、TAPSE が右室機能を反映しにくい。また、sPAP は右室流出路狭窄の影響で正確な値が測定しにくい。我々は RVFAC を TRPG で除した値が TAPSE/sPAP よりも Ees/Ea の代替指標として有用であることをこれまでに示してきた。今回、ファロー四徴症術後肺動脈弁置換術前後における Ees/Ea, RVFAC/TRPG の変化と右室機能について検証した。【方法】ファロー四徴症術後症例のべ61例(7.5~44.3歳)を対象とした。心臓カテーテル検査施行時の右室圧波形から Single beat 法を用いて Ees/Ea を算出した。SigmaPlot ver.15 を用いて Pmax を求め、ESP は心室圧波形の二次微分が最小値を呈する値とした。Ees/Ea=(Pmax/ESP)-1 と表される。四腔断面像から得られた RVFAC/TRPG を RV-PA coupling の Surrogate parameter とした。【結果】RVFAC/TRPG は Ees/Ea と有意な相関が認められた(R2=0.20, p=0.0002)。肺動脈弁置換術前後で評価できた26例では、Ees/Ea, RVFAC/TRPG は術後で有意に上昇していた(p=0.0004, p<0.0001)が、RVEF は有意な変化は無かった。RVFAC/TRPG は RVEDV, RVESV と負の相関が得られた(R2=0.10, p=0.009, R2=0.10, p=0.0081)。【結語】RVFAC/TRPG はファロー四徴症術後患者肺動脈弁置換術前後の右室機能を RVEF よりも鋭敏に反映する指標であると考えられた。