[I-OR06-05] Fontan循環指標としての下大静脈キャパシタンス
キーワード:Fontan, CVP, 静脈キャパシタンス
【背景】肺駆動心室欠如を特徴とするFontan術後患者において、安静時および運動時の中心静脈圧(CVP)上昇が予後不良因子であることが知られる。しかし運動負荷中CVP測定は煩雑であるため、より簡便な指標が求められる。本研究は下大静脈(IVC)径とIVC圧より算出した静脈キャパシタンスが運動耐容能とどのように関連するかを明らかにすることを目的とする。【方法】心臓カテーテル検査、心臓造影CT検査および心肺運動負荷試験をほぼ同時期に実施した症例において、CTによるIVC長径、短径、短径/長径比、断面積を計測した。またIVC面積/IVC圧を体静脈キャパシタンスとし、運動耐容能との関連を比較した。【結果】対象35例(女18例)、年齢9.9(9.3-17.9)歳において、IVC短径 14.4(13.1-16.8) mm、IVC長径 18.1(16.5-21.5) mm、IVC短径/長径比0.80(0.74-0.84)、断面積 769(664-1022) mm2であった。また心係数 3.9(3.4-4.6) L/min/m2、IVC圧 10.0(8.0-12.5) mmHg、%peak VO2 75.0(65.5-85.5)%であった。IVC断面積はIVC圧と有意な正相関を認めたが(r=0.39)、心係数や%peak VO2とは相関はなかった。体静脈キャパシタンスは91.0(67.2-108.6)mm2/mmHgであり、%peak VO2とは関連がなかったが、%peak O2 pulseと有意に相関していた(r=0.34)。【結論】Fontan術後患者の下大静脈キャパシタンスは、Fontan循環許容量を反映する指標となりうる。