第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

カテーテル治療

一般口演7(I-OR07)
カテーテル治療1

2024年7月11日(木) 08:00 〜 09:00 第7会場 (4F 404-406)

座長:杉山 央(大阪市立総合医療センター 小児循環器不整脈内科)
座長:赤木 禎治(岡山大学 成人先天性心疾患センター)

[I-OR07-01] PDA症例におけるカテーテル治療前後のQ波に関する検討

田中 敏克, 稲瀬 広樹, 林谷 俊和, 飯田 智恵, 広田 幸穂, 三木 康暢, 久保 慎吾, 松岡 道生, 亀井 直哉, 小川 禎治, 城戸 佐知子 (兵庫県立こども病院 循環器内科)

キーワード:PDA, Q波, カテーテル治療

【背景】12誘導心電図における深いQ波は心室容量負荷、心筋肥大、心筋虚血などを反映するとされている。乳児期に治療を要するPDA症例において深いQ波がみられることをしばしば経験するが、VSD症例ではあまり見ない所見であり、その臨床的意義は不明である。【目的】PDA症例におけるカテ治療前後のQ波と臨床像との関連を明らかにすること。【対象と方法】ADO familyを用いて閉鎖術を施行したPDA症例140例を対象とした。治療前の12誘導心電図でII, III, aVF, V4, V5, V6誘導のうち最も深いQ波(dQ)が0.5mV以上であったA群と、0.5mV未満であったB群の2群に分け、心カテ時の年齢,PDA径,Qp/Qs,収縮期血圧(sBP),拡張期血圧(dBP),平均血圧(mBP),心エコーの%LVDdについて比較検討した。A群において、dQを認めた誘導がどの誘導であったか、また、術後1年のdQが0.5mV未満に改善している割合を調べた。さらに、年齢の影響を除外するため、3歳未満に限定して、A群とB群の比較を行った。【結果】140症例中A群48例、B群92例であった。A群ではB群に比べ有意に年齢が小さく(1歳 vs 4歳)、PDA径が大きく(2.5 vs 2.0mm)、Qp/Qsが大きく(1.5 vs 1.2)、dBP, mBPが低かった(36 vs 44mmHg), (57 vs 62mmHg)。sBPには有意差を認めなかった。%LVDdは有意に大きかった(124 vs 107%)。dQを認めた誘導は、III(79%), V6(13%), V5(4%), aVF(4%)であった。術後1年以上フォローアップできた46例中39例(85%)でdQは0.5mV未満に改善していた。3歳未満に限定してのA群とB群の比較では、PDA径、Qp/Qs、dBP、%LVDdについてのみ有意差を認め、年齢、sBP、mBPには有意差を認めなかった。【考察】PDAにおける深いQ波は、短絡による左室容量負荷に加え、拡張期血圧低下によるsubclinicalな心筋虚血が影響している可能性が示唆された。術後多くの症例で速やかに改善するが、心筋虚血の影響を考慮し、深いQ波を認める症例では早期の閉鎖術が望ましいと考えた。