[I-OR08-04] Transition of atrial septal defect practice at a single institution
Keywords:心房中隔欠損, カテーテル治療, 成人先天性心疾患
【背景】2006年に1社目のASDカテーテル閉鎖デバイスが国内導入され,2023年時点で3社のデバイスが使用可能となっている.治療難易度の高い症例も閉鎖適応となりつつ中で,より安全な実施を担保しASDカテーテル治療(T-ASD)の低侵襲性を追求する必要がある.【目的】T-ASD適応の変遷を検討するとともに有害事象のリスク因子を検討し,今後のT-ASD適応拡大の可能性を検証する.【方法】期間は2010年から2023年.症例選択基準は当院で加療した二次孔ASDで右心室拡大を認める症例.T-ASD率を算出し,S-ASD症例の特徴も検討した.T-ASDの有害事象を房室ブロック,輸血を要する出血,追加セッションでの閉鎖の有無,と定義しリスク因子を多変量解析した.【結果】対象症例は230例,男/女=93/137,年齢中央値8.0歳(IQR=4.0-49.5).施行された治療はT-ASD57.4%(132例,年齢中央値59歳),外科的閉鎖(S-ASD)38.7%(89例,年齢中央値7歳),未治療3.9%(9例,年齢中央値64歳).2社目のデバイスが導入前後の2010-2015年(A群100例)と2016-2023年(B群130例)で比較すると,T-ASDは41%から69.2%に増加していた(p<0.01).一方でT-ASDの有害事象は4.8%から6.6%と不変であった(p=1.0).最大ASDサイズ/BSA比のみが有害事象に関連していたが(OR 1.75; 95% CI 1.29-2.37),BSA,サイジング径/BSA比,bald AOの有無,は関連していなかった.S-ASDのみの検討で外科的閉鎖になった理由を二群で比較すると,直接外科初診がA群34%→B群2.8%,bald AOが11.3%→0%,下壁リム欠損が3.8%→5.6%,体重20kg未満が34%→44.4%であった.【結語】bald AO症例を中心にT-ASDの適応は増えていたが,有害事象は不変であった.2023年時点でも体重20kg未満の症例をT-ASD適応外としていることが関与していると思われる.下壁リム欠損に適応拡大するかが今後の課題である.施設により要因は様々でありT-ASDの適応を安全に拡大するには多施設での検証が望まれる.