[I-OR10-02] The factors that inhibit to achieve enteral nutritional goals in pediatric cardiac surgery patients : retrospective cohort study
Keywords:先天性心疾患, 術後管理, 経腸栄養
【目的】重症小児では早期経腸栄養および急性期栄養目標達成による予後改善効果が示され、先天性心疾患(CHD)術後でも有効な可能性がある。一方で、CHD術後では水分制限や腸管合併症等により栄養目標達成がしばしば困難となる。今回、CHD術後の急性期経腸栄養目標達成の阻害因子を調査した。
【方法】2021年4月~2023年3月にPICU入室した生後6か月以下のCHD術後患者(152例)を対象とした。経腸栄養目標を術後7日時点での安静時エネルギー消費量(Schofield式)の2/3以上かつ蛋白≧1.5g/kg/日と定義した。栄養目標達成と関連が疑われる変数を診療録から後方視的に抽出し、栄養目標達成/非達成群間で比較し、目標達成阻害因子の同定のため多変量ロジスティック回帰解析を行った。
【結果】月齢中央値[IQR]は1[0-4]か月、体重 3.6[2.9-5.0]kg、男児 61%だった。全体の95%で術後48時間以内に経腸栄養が開始され、65%が栄養目標を達成した。目標非達成群では、RACHS-1≧3、開胸、筋弛緩管理が多く、人工心肺時間が長く、術後24時間におけるVIS(vasoactive inotropic score)が高かった。転帰では人工呼吸期間が長く、感染合併が多かったが、消化管合併症には差がなかった。多変量解析にて栄養目標達成阻害因子は人工心肺時間≧120分(OR 0.14[0.03-0.64])、開胸(OR 0.05[0.01-0.17])、PGE1使用(OR 0.07[0.01-0.38])、VIS(OR 0.85[0.72-1.0])であった。
【考察】人工心肺時間が長い症例やVISが高い症例では血行動態の不安定性、開胸症例では処置に伴う栄養中断、動脈管依存性疾患では腸管血流への懸念が経腸栄養確立の妨げになると予測された。こうした症例に対する栄養戦略として、経腸栄養プロトコルの導入や経静脈栄養の併用が考慮されるが、その合併症のリスクとあわせて更なる研究が必要である。
【方法】2021年4月~2023年3月にPICU入室した生後6か月以下のCHD術後患者(152例)を対象とした。経腸栄養目標を術後7日時点での安静時エネルギー消費量(Schofield式)の2/3以上かつ蛋白≧1.5g/kg/日と定義した。栄養目標達成と関連が疑われる変数を診療録から後方視的に抽出し、栄養目標達成/非達成群間で比較し、目標達成阻害因子の同定のため多変量ロジスティック回帰解析を行った。
【結果】月齢中央値[IQR]は1[0-4]か月、体重 3.6[2.9-5.0]kg、男児 61%だった。全体の95%で術後48時間以内に経腸栄養が開始され、65%が栄養目標を達成した。目標非達成群では、RACHS-1≧3、開胸、筋弛緩管理が多く、人工心肺時間が長く、術後24時間におけるVIS(vasoactive inotropic score)が高かった。転帰では人工呼吸期間が長く、感染合併が多かったが、消化管合併症には差がなかった。多変量解析にて栄養目標達成阻害因子は人工心肺時間≧120分(OR 0.14[0.03-0.64])、開胸(OR 0.05[0.01-0.17])、PGE1使用(OR 0.07[0.01-0.38])、VIS(OR 0.85[0.72-1.0])であった。
【考察】人工心肺時間が長い症例やVISが高い症例では血行動態の不安定性、開胸症例では処置に伴う栄養中断、動脈管依存性疾患では腸管血流への懸念が経腸栄養確立の妨げになると予測された。こうした症例に対する栄養戦略として、経腸栄養プロトコルの導入や経静脈栄養の併用が考慮されるが、その合併症のリスクとあわせて更なる研究が必要である。