[I-OR10-03] 開心術後のPICU管理におけるセボフルラン鎮静の使用経験
キーワード:セボフルラン, セダコンダACD, 術後鎮静
【目的】吸入麻酔薬には、自発呼吸を維持しながらの鎮静ができる、モニタリングにより鎮静度の調整が可能、終了後は早期覚醒が得られるため抜管が容易、などの複数の利点があるが、小児開心術後の鎮静目的での使用報告はわずかである。今回我々は、セダコンダACD(以下ACD)を用いてセボフルラン(以下Sev)を使用し、その有効性を検討した。【対象】2023年2月~8月に人工心肺下に二心室修復術を施行し、ICUに入室した体重20kg未満の症例(24例:ASD 2、VSD 11、AVSD3、DORV 3、その他5、うちダウン症候群 5、肺高血圧合併 6)。年齢:0才2か月~5才5か月(中央値1才6か月)、体重:6.5kg~18.9kg(中央値8.4kg)。【方法】ACDは全例で吸気リム側に装着し、抜管条件が整うまで適正な鎮静深度が得られるようSevを投与した。Sevによる過興奮を抑えるためプレセデックス(0.3~0.7μg/kg/hr)・フェンタニル(0.5μg/kg/hr)の持続静注を併用した。【結果】Sev使用時間は、2時間~19時間(中央値5時間)。Sev呼気終末濃度は0.3~0.75%で維持し、点滴確保等の疼痛を伴う処置時も良好な鎮静状態を維持できた。Sev開始時、心拍数は平均9.6bpm、収縮期血圧は平均16.5mmHg低下したが、輸液および昇圧剤の増量を要したのは3例のみであり、全例で使用継続に問題はなかった。Sev中止後は、使用時間にかかわらず3~18分(平均10分)で抜管に至った。抜管後の循環呼吸状態が不安定となった例はなかった。【結論】Sevは小児開心術後の挿管管理に用いる鎮静薬として、安全に使用することができた。挿管管理中の予期せぬ覚醒に伴うバイタル変動を防ぐことができる、抜管のタイミングをコントロールし計画的で安全な抜管が可能となる、という点が非常に有用である。