第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

集中治療・周術期管理

一般口演10(I-OR10)
集中治療・周術期管理

2024年7月11日(木) 13:10 〜 14:10 第7会場 (4F 404-406)

座長:大崎 真樹(東京都立小児総合医療センター)
座長:中山 祐樹(三重大学医学部附属病院 心臓血管外科)

[I-OR10-05] Blalock-Taussig Shunt術後周術期管理における心臓超音波検査での下行大動脈 Retrograde flow areaとForward flow area比の有用性

古河 賢太郎1,2, 伊藤 怜司2, 河内 貞貴1,2, 真船 亮1, 百木 恒太1, 増田 詩央1,2, 大森 紹玄1, 橘高 恵美1,2, 築野 一馬1, 星野 健司1,2 (1.埼玉県立小児医療センター 循環器科, 2.東京慈恵会医科大学 小児科)

キーワード:BTシャント, 心臓超音波検査, 周術期管理

【背景・目的】Blalock-Taussig Shunt術(BTS)は依然死亡率が高い。そのため周術期において肺血流過多/過小状態か否かを評価する必要がある。BTS術後周術期において、心エコーでの下行大動脈 Retrograde flow areaとForward flow areaの比率(dAO R/F ratio)が周術期管理に有用か検討した。【方法】2018/1/1-2023/12/31で当院にてmBTSを施行した症例を対象とし、診療録より後方視的に検討した。帰室時、術後12/24/48/72時間において心エコーでdAO R/F ratioを算出し、その際の体血圧(収縮/拡張期)、酸素飽和度(経皮/血中)、動脈血酸素分圧、乳酸値などを調べた。dAO r/f ratioは3心拍の平均値とし、除外はmild 以上のAR、大動脈狭窄、データが不十分な症例とした。Outcomeを肺血流過多または過小状態か否か評価をすることとした。肺血流過多状態とはBTSへのクリップ調整や体外式膜型人工肺などの介入を要する状態、または心停止や腸管壊死となった状態とした。肺血流過小状態とはシャント閉塞で開胸、BTシャント再置換術、体外式膜型人工肺などの外科的介入を要した状態とした。【結果】対象は90例で17例は除外。手術時の月齢2.2(0.47-19.6)、体重4074g(2540-9060)、Shunt sizeは3.5mm(20%)/4mm(65%)/5mm(15%)であった。吻合部はBCA62.5%、SCA35%、CCA 2.5%で、人工心肺使用例は37.5%であった。疾患はToF 25%、SV17.5%、DORV12.5%、PAIVS12.5%、hypo LV 12.5%、AVSD10%、その他10%で、染色体異常等の基礎疾患合併が12.5%であった。BTS以外の肺血流源は順行性肺血流が35%、residual DAが5%、MPCAが5%であった。肺血流過多が32.5%、過小が5%だった。順行性肺血流がない症例での肺血流過多状態はdAO r/f ratioのCut off値を0.6に設定すると特異度80.0%、感度90.5%であった。【結語】周術期において、心エコーでのdAO R/F ratio測定は肺血流過多状態を評価するうえで有用となり、またシンプルかつ非侵襲的な方法である。