[I-OR10-05] Blalock-Taussig Shunt術後周術期管理における心臓超音波検査での下行大動脈 Retrograde flow areaとForward flow area比の有用性
キーワード:BTシャント, 心臓超音波検査, 周術期管理
【背景・目的】Blalock-Taussig Shunt術(BTS)は依然死亡率が高い。そのため周術期において肺血流過多/過小状態か否かを評価する必要がある。BTS術後周術期において、心エコーでの下行大動脈 Retrograde flow areaとForward flow areaの比率(dAO R/F ratio)が周術期管理に有用か検討した。【方法】2018/1/1-2023/12/31で当院にてmBTSを施行した症例を対象とし、診療録より後方視的に検討した。帰室時、術後12/24/48/72時間において心エコーでdAO R/F ratioを算出し、その際の体血圧(収縮/拡張期)、酸素飽和度(経皮/血中)、動脈血酸素分圧、乳酸値などを調べた。dAO r/f ratioは3心拍の平均値とし、除外はmild 以上のAR、大動脈狭窄、データが不十分な症例とした。Outcomeを肺血流過多または過小状態か否か評価をすることとした。肺血流過多状態とはBTSへのクリップ調整や体外式膜型人工肺などの介入を要する状態、または心停止や腸管壊死となった状態とした。肺血流過小状態とはシャント閉塞で開胸、BTシャント再置換術、体外式膜型人工肺などの外科的介入を要した状態とした。【結果】対象は90例で17例は除外。手術時の月齢2.2(0.47-19.6)、体重4074g(2540-9060)、Shunt sizeは3.5mm(20%)/4mm(65%)/5mm(15%)であった。吻合部はBCA62.5%、SCA35%、CCA 2.5%で、人工心肺使用例は37.5%であった。疾患はToF 25%、SV17.5%、DORV12.5%、PAIVS12.5%、hypo LV 12.5%、AVSD10%、その他10%で、染色体異常等の基礎疾患合併が12.5%であった。BTS以外の肺血流源は順行性肺血流が35%、residual DAが5%、MPCAが5%であった。肺血流過多が32.5%、過小が5%だった。順行性肺血流がない症例での肺血流過多状態はdAO r/f ratioのCut off値を0.6に設定すると特異度80.0%、感度90.5%であった。【結語】周術期において、心エコーでのdAO R/F ratio測定は肺血流過多状態を評価するうえで有用となり、またシンプルかつ非侵襲的な方法である。