第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

弁疾患

一般口演11(I-OR11)
弁疾患

2024年7月11日(木) 14:20 〜 15:20 第7会場 (4F 404-406)

座長:若松 大樹(福島県立医科大学附属病院 心臓血管外科)
座長:村山 弘臣(あいち小児保健医療総合センター心臓血管外科)

[I-OR11-03] 新生児期に外科治療が必要であった重症Ebstein 5例の検討

正木 祥太, 岡田 典隆, 小坂井 基史, 山本 隆平, 村山 弘臣 (あいち小児保健医療総合センター)

キーワード:Ebstein, 新生児, Starns

【背景】Ebstein病において初回の外科治療が必要となるタイミングは様々であるが、特に新生児期に介入が必要となる重症群の治療成績は未だ不良である。またその初回治療戦略は議論のあるところである。【目的】当院で新生児期に手術介入を行った症例とその治療戦略の妥当性について後方視的に検討する。【対象】2017年から2023年に新生児期に初回介入したEbsteinが5例あった。1例が解剖学的肺動脈閉鎖、3例は機能的肺動脈閉鎖、1例はcircular shuntで、5症例とも出生早期からPGE1 製剤および人工呼吸管理が必要であった。初回手術時期は生後0-21日、体重平均2,904 g、手術は初期の2例はmodified BT シャントを先行、後半の3例はTV closure, RV plicationを先行し、いずれも段階的なmodified Starnsとする術式を選択した。死亡は2例で、1例は術直後からの循環不全に加え感染を合併、もう1例は生来の肺障害が著明でVV-ECMO下で回復を待つも肺の回復が得られず失った。長期生存は残り3例で2例がTCPCに到達、1例が現在TCPC待機中である。TCPC到達の1例は、胎児期からの肺障害が遷延していたものの、Nuss barによる漏斗胸治療を併用することでBDG, TCPCを乗り越えることができた。また直近の1例はcircular shuntの超重症例であり、出生前から他職種とのシミュレーションを繰り返すことで、準緊急帝王切開で出生直後に心停止となるも迅速に心臓手術室に移動し外科手術を行うことで救命し得た。【考察】新生児期の一期Starnsは死亡率も高く、特に肺血流が不安定な新生児早期のSP shuntを回避する当院の段階的Starnsの方針は概ね妥当と思われた。生後0日で外科治療が必要となるような超重症例では、医療チームによる確かな協力体制と綿密な計画が必須である。またEbstein病は重度の肺障害を伴うことも多く、初回手術を乗り越えても呼吸機能への綿密な対策や次回手術に向けての工夫が重要である。