[I-OR11-04] 乳幼児僧帽弁置換術と適正有効弁口面積,至適再手術に関する検討
キーワード:EOAI, 僧帽弁置換, PPM
【背景】乳幼児期僧帽弁置換術(MVR)では多くの症例で最小径機械弁であるATS 16を使用せざるを得ないため成長とともにPPM(Prosthesis-patient mismatch)が進行し再弁置換術が必要になることが予想される.大動脈弁位ではPPMの指標としてEOAI(有効弁口面積(cm2)/BSA(m2)) 0.85cm2/m2 といった明確な基準が存在するが僧帽弁位ではPPMを示す明確な指標はなく,再弁置換時弁選択基準が不明確である.成人において僧帽弁位EOAIが1.4cm2/m2以上であればPPMを回避可能でありEOAI≦1.22cm2/m2ではPPMの割合が高くなるといった報告もある. 【目的】当院の乳幼児期MVR(1993-2023年)10例から乳児期僧房弁置換術について後方視的に検討を行った. 【結果】初回MVR時age(m):mean17(6-50),BW(kg):mean4.9(2.9-10.9),原疾患cAVSD:5,MR:3, MS:1,IE:1であった. 初回弁選択はATP16: 2 例, SJM17: 5例, SJM19:2例, SJM21: 1例であった. 10年,15年生存率は100%であり,10例中7例に再弁置換術が必要であった.原因は血栓弁2例,PPMが5例であった.さらに最小径ATS 16,SJM17によるMVR症例は7例であり, このうち再弁置換症例は4例, 再弁置換時の年齢(y)mean 9(3.1-12.0), EOAI:mean 1.49(cm2/m2)(0.87-1.43)であった. 全例TTEでのpeak transmitral flow velosity(TMF)が2.5m/s以上であり,再弁置換時のPCWPとの相関関係を認めた. ATS16,SJM17によるMVR後再手術回避率は5年68.6%, 10年45.7%であった.弁選択では2 size upが可能であり再弁置換後平均観察期間は 10.5年で平均年齢22.1yでのEOAI: mean 1.7(cm2/m2)でり, reMVR後再弁置換回避率は10年100%であった. 【結語】re MVR至適時期の検討にはTMFが有用であり, 弁選択では成長後EOAI≧1.4を目標とすることで再々弁置換が回避可能であることが示唆された.