[I-OR11-05] 弁形成術後に再発したNorwood術後新大動脈弁逆流に対して自己大動脈弁autograftを用いて治療し得た1例
キーワード:aortic regurgitation, aortic valve plasty, aortic root translocation
【背景】Norwood術後の新大動脈弁閉鎖不全(neo-AR)の合併は予後不良である。牛心膜による弁形成術後に再発したneo-AR、新大動脈弁上狭窄(neo-supra AS)と大動脈弓狭窄に対して新たな術式で修復し得た一例を経験したので報告する。【症例】4ヶ月, 男児, {S,L,L}修正大血管転位症、大動脈弓離断症、左室型単心室症の診断。生後1ヶ月で両側肺動脈絞扼術施行。生後2ヶ月時にModified Norwood(swing-back法による大動脈弓再建及びDKS吻合)を施行。術後severe neo-ARによる心不全と不整脈に難渋し、術後1ヶ月時にneo-ARに対して牛心膜による弁形成術を施行。しかしながら術後、DKS吻合部でのneo-supra AS、severe neo-ARと大動脈弓狭窄を認めたため、外科的加療目的に初めて当科紹介となった。手術は、逆流を認めず、かつ十分な弁輪経を認めた旧大動脈基部をautograftとして主心室流出路にaortic root translocationを行った。Autograft採取部はePTFE patchにて閉鎖。同時に大動脈弓部は自己組織で狭窄解除を行い、上行大動脈は異種心膜パッチによる狭窄の解除を行った。未閉胸、ECMO下でPICU入室となった。術後3日目にECMO離脱し、6日目に閉胸。術後有意な大動脈弁逆流を認めなかったが、異種心膜パッチのshrinkageによると思われる経時的な上行大動脈狭窄悪化を認め、再介入を予定していたが、感染により術後77日目に失った。【結語】Modified Norwood術後のsevere neo-ARに対して、旧大動脈基部をautograftとしてaortic root translocationを行いneo-ARを治療し得た。