[I-OR12-03] 3C (Cardiac, Coronary orifice, circle of Willis)-CT scanning method for infants and newborns, with a single contrast medium infusion.
Keywords:CT, Willis, coronary
【背景・目的】新生児・乳児の大動脈弓形成術時に、成人同様の腕頭動脈・総頚動脈・鎖骨下動脈のカニュレーションでは術後に血管狭窄が生じかねない。当院は、上半身への送血を腕頭動脈からのみ行っており、術中の脳虚血評価のモニタリングは、右橈骨動脈と近赤外線分光法による左右前頭部の局所脳酸素飽和度で行っている。以前は浅側頭動脈(STA)の直接動脈圧を測定していたが、STAは外頸動脈の分枝であり脳血流を正しく反映しているか不明であること、術中に測定値が不安定になることもあるなどの問題がある。他の評価方法として、新生児・乳児では比較的広いエコーウインドウの確保が容易な側頭泉門からの経頭蓋超音波検査は、リアルタイムで内頚動脈分岐部から中大脳動脈、前大脳動脈、後大脳動脈を評価できる。しかし、個人差があり精度は必ずしも高くはない。術前にWillis動脈輪の破格の有無を検索する方法としてWillis輪CTAがあるが、撮影タイミングが心臓CTと同時であり、数日に分けて施行することが少なくない。連続で撮影するとしても2つの撮影の間には数秒を要し、造影剤の増量が避けられない。当院は、心臓に流入する全ての血管が造影されているタイミングで心臓CTを撮影しており、心臓CTの撮影前にWillis輪CTAが撮影できる。また、突然死のリスク評価として冠動脈起始部の評価も重要と考えている。被曝の問題から症例を厳選する必要はあるが、1回の造影剤注入で3つのCTを行う3C-CT撮影法(2023年は51件実施)を報告する。【方法】下肢から希釈率の異なる造影剤で2段階注入を開始し、Willis輪は18秒後に、冠動脈起始部は27秒後に、胸部全体は37秒後に撮影する。希釈率・タイミング・撮影方法の個別微調整を行う。【結果・考察・結論】有害事象なく全症例で明瞭に描出された。大動脈弓形成術時の総合的な脳虚血評価を支援するWillis輪CTAは、心臓CTと同時かつ造影剤を増量することなく施行可能である。