[I-OR12-06] 新規開発された心音図計の先天性心疾患スクリーニング適用への可能性探索
キーワード:心音図, 心房中隔欠損, 聴診
【背景】聴診は先天性心疾患のスクリーニングにおいて重要な役割を果たすが、聴診技術は個人による差が大きい。聴診所見の可視化は診断の再現性を上げ、遠隔診療や聴診所見の共有による教育への応用も可能である。従来の心音図が日常業務で使用されることは稀となり、デジタル聴診器も広く普及しているものは現時点ではない。心疾患診断アシスト機能付遠隔医療対応聴診器(以下、超聴診器)は、心筋活動電位の発生をトリガーとしてデジタル化された聴診音を合成する医療機器である(AMI社、日本)。可聴領域の心音シグナルノイズ比(SNR)が高い、取得可能な周波数帯域が広い、三次元解析(音圧・時間・周波数)が可能である点を特徴とする。スクリーニングツールとしての超聴診器の可能性を検証するため、成人までの見逃し症例が少なくない心房中隔欠損症に焦点を当てた。【方法】超聴診器で取得した治療前の心房中隔欠損症18症例に関して、電子カルテより診断契機、心音図取得時点の聴診所見、カテーテル検査所見を抽出した。【結果】18例中14例に経皮的心房中隔欠損閉鎖術が施行され施行時のQp/Qsは2.91±1.27であった。残り4例は手術3例、カテーテル待機1例であり全例治療対象であった。診断契機は小学校1年時の学校健診での心電図異常が7例、心雑音が7例、脈不整が1例、偶発的に心エコーで発見が2例、不明が1例であった。聴診所見はII音固定性分裂12例、収縮期雑音13例、拡張期ランブル4例に対し、超聴診器による解析結果は全例でII音固定性分裂陽性、収縮期雑音はなし1例、軽微3例、陽性14例、拡張期雑音はなし10例、軽微5例、陽性3例であった。【考察】治療対象の心房中隔欠損症でも聴診所見が明らかでないこともあるが、超聴診器のII音固定性分裂は全例陽性であった。まだ症例数は限定的であり、他疾患も含めて今後有用性を検討していく(現在、多施設研究に移行中である)。