[I-P01-1-02] ウイルス感染を契機に急激に心筋症を発症した、17β-hydroxysteroid dehydrogenase type 10 diseaseの一例
キーワード:HSD10, 心筋症, 心筋炎
【背景】17β-hydroxysteroid dehydrogenase type 10 disease(HSD10病)はHSD17B10遺伝子変異に伴うX連鎖性代謝異常症である。ミトコンドリア機能異常の所見と進行性の心筋症を呈し、新生児期に発症する型では乳児期に死亡する予後不良で稀な疾患である。ウイルス感染を契機に心筋症を発症したHSD10病の一例を報告する。
【症例】在胎41週0日、体重3004g、Apgar 9-10で出生。日齢1に多呼吸、乳酸値高値を伴う代謝性アシドーシスのため当院に搬送された。UCGでは異常所見を認めず、加療により乳酸値及びアシドーシスは改善した。ミトコンドリア病パネル遺伝子検査で、HSD17B10遺伝子に病的バリアントNM_004493.3: exon2: c.34G>A: p.(Val12Met)をヘミ接合性に認め、HSD10ミトコンドリア病と診断した。生後5か月時のUCGでLVDd 28.0 mm (114%N), LVEF約60%で左室拡大・壁運動低下を認めず。生後7か月時に嘔吐と鼻翼呼吸で入院。UCGでLVEF約40%、ECGはV1-3のST低下を示した。心筋トロポニンIとCK-MBの上昇とライノウイルス/エンテロウイルス陽性(Film Array呼吸器パネル)よりウイルス性心筋炎と診断し、救命したがLVEFは20%台に低下した。左室拡大(LVDd 38.0 mm (150%N))と肥大(IVST/PWT, 8.9/9.5 mm)から肥大型心筋症/拡張型心筋症混合型と診断。疾患特性と副作用の懸念からβ遮断薬・アンギオテンシン変換酵素阻害薬は投与せず。その後、心機能の回復はなく、肺うっ血が進行し、生後9か月時に永眠。
結論】HSD10病では、ウイルス感染等により急激に全身状態が悪化することが知られており、典型例と思われた。HSD10病は稀な疾患のため、症例の蓄積が必要である。
【症例】在胎41週0日、体重3004g、Apgar 9-10で出生。日齢1に多呼吸、乳酸値高値を伴う代謝性アシドーシスのため当院に搬送された。UCGでは異常所見を認めず、加療により乳酸値及びアシドーシスは改善した。ミトコンドリア病パネル遺伝子検査で、HSD17B10遺伝子に病的バリアントNM_004493.3: exon2: c.34G>A: p.(Val12Met)をヘミ接合性に認め、HSD10ミトコンドリア病と診断した。生後5か月時のUCGでLVDd 28.0 mm (114%N), LVEF約60%で左室拡大・壁運動低下を認めず。生後7か月時に嘔吐と鼻翼呼吸で入院。UCGでLVEF約40%、ECGはV1-3のST低下を示した。心筋トロポニンIとCK-MBの上昇とライノウイルス/エンテロウイルス陽性(Film Array呼吸器パネル)よりウイルス性心筋炎と診断し、救命したがLVEFは20%台に低下した。左室拡大(LVDd 38.0 mm (150%N))と肥大(IVST/PWT, 8.9/9.5 mm)から肥大型心筋症/拡張型心筋症混合型と診断。疾患特性と副作用の懸念からβ遮断薬・アンギオテンシン変換酵素阻害薬は投与せず。その後、心機能の回復はなく、肺うっ血が進行し、生後9か月時に永眠。
結論】HSD10病では、ウイルス感染等により急激に全身状態が悪化することが知られており、典型例と思われた。HSD10病は稀な疾患のため、症例の蓄積が必要である。