[I-P01-1-03] Long-term follow-up and genetic analysis of a case of Brugada syndrome siblings with cardiopulmonary resuscitation.
Keywords:ブルガダ症候群, Brugada syndrome, SCN5A
【緒言】小児ではブルガダ症候群(BrS)の心室不整脈による心肺停止や失神は極めて稀である。一方、小児症候性BrSではSCN5A遺伝子変異を成人よりも高頻度で有し、Naチャネルの機能低下により徐脈性不整脈や心伝導障害を多く合併する。今回、我々は心肺蘇生歴のあるBrSの兄妹についての長期経過とSCN5A遺伝子変異の意義を検討した。【症例】発端者は長男、次男、妹の3人兄妹のうち次男と妹である。妹は1歳5ヶ月の発熱時に失神し、心拍数約300回/分の頻脈であったため電気的除細動(DC)により蘇生された。その後、12誘導心電図でV1誘導の特徴的なCoved型ST上昇がありBrSと診断された。次男も2歳11か月の発熱時にVTとショックのためにDCを施行されBrSと診断された。長男には心電図異常はなく、離別した父と父方祖父に不詳の不整脈があった。保護者は植え込み型除細動器や予防内服治療を望まず、発熱時の積極的な解熱薬使用を指導された。以降、兄妹には失神や動悸はなく、学校心臓検診毎に数年に1回の受診間隔となった。今回、18歳となった妹が美容手術のための診療情報提供書を希望し母と受診したため心機能評価と成人期を見据えた説明を行った。心臓超音波検査で心機能は正常で、12誘導心電図でQRS延長とfragmented QRSを認めたが、徐脈性不整脈はなかった。遺伝子解析の同意を得て、不整脈と心筋症に関連する網羅的遺伝子解析を施行したところ、SCN5A遺伝子にc.998G>T, p.Gly333Valのミスセンス変異が同定された。この変異の既報はないが、Naチャネル孔領域でありBrSの心室不整脈のハイリスクと考えられた。【結語】小児症候性BrSでは積極的な遺伝子解析が望ましく、SCN5A遺伝子変異はBrSの心室不整脈だけでなく、Naチャネル機能低下による徐脈性不整脈の合併にも生涯を通じて注意を要する。