[I-P01-1-04] A case of Loeys-Dietz syndrome complicated by a traumatic giant subclavian artery aneurysm.
Keywords:Loeys-Dietz症候群, 鎖骨下動脈瘤, 遺伝子診断
【背景】Marfan症候群(以下MFS)類縁疾患の一つであるLoeys-Dietz症候群(以下LDS)はMFSと比較して大動脈基部拡張などの血管病変が若年期から見られ、より広範な動脈瘤形成の傾向があり手術に難渋する症例も多い。今回外傷を契機に巨大鎖骨下動脈瘤を発症し治療に至ったLDSの女児例を経験したため報告する。【症例】12歳女児。出生時より軟口蓋裂が認められた。生後8か月で動脈管開存症と診断され、1歳で経カテーテル動脈管閉鎖術を施行された。その後2歳までに軟口蓋裂閉鎖術と頭蓋骨早期癒合症の手術を施行された。5歳から大動脈基部拡張が見られたことからMFSが疑われた。6歳で交通事故に遭いICU入院を要した。10歳8か月で遺伝子検査が行われ、TGFBR2遺伝子にc.1564G>C(p.Asp522His)の変異を認めLDSと診断され、合併症精査目的の大血管MRI、造影CTで左鎖骨下動脈起始部に43mm×28mm×27mmの嚢状動脈瘤が認められた。胸部X線で交通事故前には認めなかった左大動脈弓部異常影が出現していることが後方視的に確認された。この巨大動脈瘤に対してハイブリッド治療の方針となり、12歳で人工血管を用いた左総頚動脈-左鎖骨下動脈バイパス術及び左椎骨動脈再建術と同時に鎖骨下動脈瘤コイル塞栓術を施行した。手術後はアスピリン内服が開始され、これまで有害事象なく経過している。【考察】交通事故後から胸部X線での異常影が出現したことから交通事故による外力が動脈瘤形成の誘因となったと考えられる。遺伝子診断を契機にした血管系スクリーニングにより巨大動脈瘤の診断に到達することができた。動脈瘤へのハイブリッド治療は有効であった。【結語】MFSまたはその類縁疾患が疑われる症例では外傷後に頭頚部を含めた画像検査実施を推奨する。