[I-P01-1-06] Alagille症候群における末梢性肺動脈狭窄の予後
キーワード:Alagille症候群, 遺伝子異常, 肺動脈狭窄
【背景】Alagille症候群は、JAG1遺伝子もしくはNotch2遺伝子の異常により、特異的顔貌、眼・骨格系の異常と共に、胆汁うっ滞・末梢性肺動脈狭窄を主とする心疾患を認める疾患である。心疾患の重症度が早期の生命予後を規定すると言われているが、その長期予後についてのまとまった報告は少なく、特に末梢性肺動脈狭窄に対する治療介入については判断が難しいことが多い。【目的】Alagille症候群における末梢性肺動脈狭窄の経過・予後を明らかにする。【方法】過去10年間でカテーテル検査もしくは治療を行った8例のAlagille症候群の経過について後方視的に検討を行った。【結果】年齢は3歳-19歳(中央値9歳)、2例は生後2ヶ月時・3ヶ月時に死亡。経過中にステント留置、その後肺動脈形成を行ったものが1例、ステント留置を行ったものが1例。初回評価時(0-4歳3ヶ月〔中央値1.1歳〕)のPA indexは78±54.1(中央値78.5)、RV/Ao比は0.75±0.42(中央値0.54)、Rpは1.7±0.57U・m2(中央値1.5)。介入ありもしくは死亡した群(A群:5例)と介入なしで経過観察中の群(B群:3例)で比較すると、初回評価時のPA indexはA群: 50.4±44.5/B群: 123.9±34.7(P値=0.04)、RV/Ao比率はA群:1.05±0.43/B群:0.46±0.04(P値=0.14)と、初回介入時のPA index値によっては経過観察での改善も期待ができる可能性が示唆された。また、生存6例中4例で肝移植が行われた(10ヶ月-2歳3ヶ月〔中央値1.2歳〕)。【考察】Alagille症候群の末梢性肺動脈狭窄は症例によっては経過観察のみで成長が得られる場合がある。ステント留置などで一度介入すると長期にわたって肺動脈サイズの成長が得られにくく、肺動脈狭窄に対する介入の方針決定は慎重に行う必要がある。