[I-P01-2-02] 当院で経験した総肺静脈異常症IIa型の胎児心エコーの特徴
キーワード:胎児心エコー, 胎児診断, 総肺静脈還流異常症
【緒言】総肺静脈還流異常症(TAPVR)は全先天性心疾患の0.8%を占め,新生児期の介入を要する重要な心疾患であるが,その胎児診断率は高くない.特にII型は胎児心エコーでのTAPVRの特徴の一つである左房背側の大きな空間が見られず,胎児診断が難しい.当院で胎児診断および,生後判明したTAPVR IIa型2例の胎児エコー上の特徴を述べる.【症例1】母体3経妊1経産.在胎32週で精査目的に当院紹介.胎児診断はファロー四徴症とした.在胎39週3日,2595gで出生.生後のエコーで両大血管右室起始症,肺動脈狭窄,TAPVR IIaの診断であった.在胎37週時点の胎児エコーを見返すと,四腔断面における左房後壁から大動脈までの距離は4.1mm,Post LA space indexは0.72と正常,肺静脈血流パターンは正常で肺静脈狭窄を示唆する所見はなかったが,冠静脈洞は拡大しており,肺静脈は冠静脈洞へ流入していた.【症例2】母体3経妊1経産,側脳室嚢胞を認め精査目的に当院紹介.多発奇形もあり後に18トリソミーの診断.妊娠26週3日当初の心疾患は心室中隔欠損のみと判断していた.3週後の再診時,四腔断面における左房後壁から大動脈までの距離は4.8mm,Post LA space indexは0.75で肺静脈狭窄を示唆する所見はなかったが,肺静脈全ての冠静脈洞への還流,冠静脈洞の拡大を認めTAPVR IIaの胎児診断とした.児は在胎32週5日に骨盤位で経腟分娩したが,蘇生困難であった.【結語】胎児心エコーにおいて単独のTAPVRは診断困難である.特にIIa型では冠静脈洞のみの拡大が特徴となりうるため,スクリーニングにおいて肺静脈が還流しうる先の静脈系の拡大を確認することは重要である.