[I-P01-2-06] 右側大動脈弓に伴う血管輪の胎児診断症例の経過
キーワード:右側大動脈弓, 胎児診断, 気管軟化
【背景】右側大動脈弓に伴う血管輪は近年胎児診断される症例が増加しているが、生後の管理方針については定まった見解はない。【目的】右側大動脈弓に伴う血管輪の胎児診断症例の経過を振り返り、今後の管理の一助とすること。【方法】2016年5月から2024年1月までに当院で診療した心内病変を伴わない右側大動脈弓に伴う血管輪の胎児診断症例について診療録を用いて症状や手術介入の有無、CTや気管支鏡の画像所見について後方視的に検討した【結果】胎児診断症例は21例あり14例が2021年以降の症例であった。気管狭窄疑い1例、不完全型重複大動脈弓疑い1例、FGR1例の3例以外は紹介元で出生。生後CT撮像した13例のうち11例でKommerell憩室と左鎖骨下動脈起始異常を認めた。気道症状を伴った症例は3例で全例手術が行われ、手術時月齢は6~10か月(中央値9か月)であった。無症状で手術した症例は6例あり手術時月齢は4-23か月(中央値11.5か月)で、すべて2021年以降の症例であった。気道症状を呈した症例では胸部下行大動脈の椎体左側走行が3例中2例でみられたが、無症状例では18例中2例のみであった。また術前に気管軟化症状が高度であった1例では同所見に加えて肺動脈の拡大がみられた。気管支鏡検査は手術症例全例で行われ、全例で圧迫所見が認められた。術後入院期間は術前の気管軟化が高度であった1例が26日でそれ以外は7~9日、合併症は表層創部感染の1例のみであった。【考察】気道症状を呈する症例の特徴として、胸部下行大動脈の椎体左側走行や肺動脈の拡大が挙げられた。また無症状手術例の増加は胎児診断時の説明内容が影響していると思われた。【結語】気管周囲血管のより詳細な解剖学的評価を行うことで出生後の有症状例を予測できる可能性がある。手術決定には遠隔期合併症を含めた説明を十分に行う必要がある。