[I-P01-2-09] 胎児水腫・心内circular shuntを呈し、心筋症の合併が疑われたEbstein病、27週早産児の一例
キーワード:Ebstein病, Circular shunt, 心筋症
【背景】Circular shuntは一般的に重症Ebstein病に重度のPRを合併した際に使用される用語であるが、短絡血液が毛細血管床を通過せずに全ての心腔を通過し元の心室に戻る循環と定義され予後不良の疾患である。また、胎児期発症の心筋症の予後も不良である。今回心内でcircular shuntを形成したEbstein病、心筋症の合併症例を経験したため報告する。【症例】妊娠24週で胎児水腫のため当院へ紹介された。重度のTR、large VSD、著明な心収縮低下、hypo Archを認め、精査のため手術可能施設へ紹介した。Ebstein病、重度TR、large VSD、大動脈軽度低形成を認め、左右心室機能障害、右室瘤を認め心筋症の合併も疑われた。心内の血流は右房→卵円孔→左房→左室→VSD→右室→右房となっており、心内circular shunt、心筋症による胎児水腫と考えた。胸腹水は認めたが、その他の合併奇形は明らかでなかった。24週時点での娩出では救命は不可能と判断し、可能な限り妊娠継続とし妊娠35週まで維持できた場合には積極的治療介入の方針としたが、妊娠27週でミラー症候群を発症したため母体適応で緊急帝王切開となった。最大限の治療を望まれ、蘇生に反応したためNICUへ入院した。エコーでは両心室の著明な収縮不良、large VSD、severe TR(三尖弁plasteringあり)、CoAを認め、左室心尖部にかけて非緻密化層が目立ち、右室前面に瘤を形成しており、出生前診断と同様であった。Lipo-PGE1、カテコラミン投与を行なったが、生後17時間で死亡した。【考察】Circular shunt、胎児期発症の心筋症はともに予後不良の疾患であり、更に27週での出生であり救命は困難であった。両疾患の合併、予後について文献的考察を含め発表する。