The 60th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster Session

心血管機能・自律神経機能

Poster Session(I-P01-5)

Thu. Jul 11, 2024 1:10 PM - 2:00 PM Poster venue (2F Multi-purpose Hall)

座長:豊野 学朋(秋田大学大学院医学系研究科小児科小児科学講座)

[I-P01-5-03] Assessment of blood flow patterns in the left ventricle in childhood cancer survivors using topological flow data analysis

西山 樹1, 高橋 健2, 赤塚 祐介3, 佐藤 浩之3, 加護 祐久3, 秋谷 梓3, 山崎 真友美3, 細野 優3, 重光 幸栄3, 板谷 慶一4, 清水 俊明3 (1.順天堂大学大学院 小児思春期発達・病態学講座, 2.順天堂大学医学部附属浦安病院 小児科, 3.順天堂大学 小児科, 4.名古屋市立大学 心臓血管外科)

Keywords:流線トポロジー解析, 血流解析, がん治療関連心機能障害

【背景】近年、心室内の血流の可視化が可能となり、位相幾何学と力学理論を用いて正確に血流パターンを同定する理論である流線トポロジー解析 (Topological Flow Data Analysis; TFD解析) が提唱された。同理論は新たな心機能指標となる可能性があるが、それを用いた研究はまだ報告されていない。
【目的】TFD解析を用いて正常な小児から若年成人の左心室内血流パターンを明らかにすること。また、小児がん経験者における変化を評価し、鋭敏な心機能指標になり得るか検討すること。
【方法】対象は当院でアントラサイクリンを含む化学療法後1年以上経過し、左室長軸方向ストレインの低下 (14.2±1.0%) を認めた小児がん経験者20例 (C群) と年齢を合わせた正常対照20例 (N群)。TFD解析ではVector Flow Mapping (Cardio Flow Design社) を用いて、心尖部三腔像カラードプラ画像から渦流構造や鞍点を抽出した。
【結果】TFD解析ではN群において駆出期を通じて僧帽弁下に時計回りの渦が存在し、心尖部から流出路への血流が発生した。拡張期には僧帽弁後方に反時計回り、前方に時計回りの渦が発生し、流入部から心尖部に向かう血流が発生した。一方、C群では収縮期の時計回りの渦が同様に存在するが小さく、収縮末期に消失し異常な渦流の出現も一部の症例で観察された。さらに、C群の鞍点の位置はN群と比較して有意に心基部側であった (p<0.01)。拡張期では心尖部に達する良好な血液流入を認めない症例が13/20例あり、さらに拡張期早期の異常な渦の発生数はC群で有意に高値であった (p<0.01)。
【結論】TFD解析を用いて、正常例における血流パターンが明らかとなった。また、小児がん経験者ではこれらの正常パターンが形成されていない症例が多く、鋭敏な心機能指標となる可能性が示唆された。更に新たな計測値を加えて発表する。