[I-P01-6-05] 川崎病患者に対する免疫調節療法の最適な適応基準を見いだす特定臨床研究
キーワード:川崎病, 冠動脈疾患, 免疫抑制薬
【背景と目的】川崎病の易罹患感受性遺伝子の発見によってシクロスポリンA(CsA)が治療薬として開発され薬事承認されている。医師主導治験ではITPKC遺伝子のSNP(rs28493229)にリスクアリルを有する患者においてCsAの冠動脈病変抑制効果が高い傾向が見られた。そこで、ITPKC遺伝子にリスクアレルを持つ患者ではCsA併用療法の冠動脈合併症の抑制効果がより顕著であるという仮説を検証し、実装可能な川崎病患者に対するCsA治療の最適な適応基準を見いだす探索的研究を計画した。本発表ではそのプロトコールを報告する。【方法と結果】現在CsAの効能又は効果は「川崎病の急性期(重症であり、冠動脈障害の発生の危険がある場合)」とされ、注意として「静注用免疫グロブリン不応又は不応予測例に投与すること」と添付文書に記載されている。本研究は川崎病と診断され研究に参加したすべての症例を対象とするため、適応外使用の症例が存在すると考え特定臨床研究として計画した。病日9までに川崎病と診断され説明と同意を得られた患者を対象とし、IVIG不応リスクスコアに関係なく初期治療としてCsA+免疫グロブリン治療を行う。試験期間を治療開始1ヶ月間とし、治療前を含めて4ポイントで心エコー動画の中央判定を行う。冠動脈3枝を計測しZスコア2.5以上を冠動脈病変ありと定義する。期間中に患者のITPKC遺伝子を検査する。主評価項目を冠動脈病変とITPKC遺伝子リスクアリルとの関係とする。【考察】日本医療研究開発機構の資金を得て、2023年6月から7施設で患者組み入れを開始した。この臨床研究によって川崎病患者に最適化された治療法を提供し、急性期の罹病期間の短縮と冠動脈瘤のさらなる減少をめざしたい。(共同研究施設:千葉大学医学部附属病院臨床試験部、千葉大学大学院医学研究院公衆衛生学)