[I-P01-6-06] Significance of Urinary Urobilinogen in the Severity of Kawasaki Disease
Keywords:ウロビリノーゲン, 尿検査, 川崎病の新たなマーカー
【背景】川崎病で尿中ウロビリノーゲンについての考察は限られている。ウロビリノーゲンは直接ビリルビンが胆汁に排泄され、腸内細菌により変換されて生じる。ウロビリノーゲンの代謝に胆道、肝臓、腸管、尿細管が関わる。また、川崎病において胆嚢炎、消化器症状、腎障害を合併すると重症となる。両者が同一の臓器に関与していることから尿中ウロビリノーゲンが川崎病の重症度を反映している可能性がある。【目的】尿中ウロビリノゲンと川崎病に関連する各因子の関係を検討する。【方法】2017年1月1日から2021年12月31日に入院し、尿中ウロビリノーゲンを測定した川崎病患者307名を対象とした。尿中ウロビリノーゲン定量(基準値1.0 mg/dL以下)で、1.0以下の群 (L群299例)と1.0より高い群(H群8例)の2群間で血液・尿検査、臨床症状を比較した。【結果】血清Bil値(median [range] H群2.4[0.6, 3.3] vs L群0.4[0.1, 4.5, p<0.01])、AST値>100の割合(75.0% vs 12.7%, p<0.01)、腹痛の割合(12.5% vs 2.0%, p<0.05)と有意差を認めた。尿中β2MG値にてH群、L群の分類におけるROC曲線からβ2MGのカットオフ値を6440と求めた。β2MG>6440の割合は(60.0% vs 11.2%, p<0.01) であった。他に、再発率(37.5% vs 6.69%, p<0.05)、小林スコア(median [range] 7[3, 10] vs 2[0, 10, p<0.01]))、血沈(median [range] 70[55, 100] vs 62[1, 127, p<0.05])、フィブリノゲン(median [range] 824[677, 1164] vs 627[184, 1200, p<0.01])で有意差を認めた。【考察】川崎病患者における尿中ウロビリノーゲン値により、胆嚢、肝臓、消化管、腎臓に関わる因子、また、再発率、川崎病のスコア、炎症に関わる因子で有意差を認めた。ウロビリノーゲンの排泄・代謝は川崎病の重症例に影響する臓器が関与していること、尿検査は簡易的で侵襲が少ないことより、尿中ウロビリノーゲンが川崎病の重症度の総合的なマーカーとして期待される。