[I-P02-1-01] Two cases of births from LQT2 mothers with different outcomes
Keywords:QT延長症候群, 遺伝性不整脈, 周産期管理
【背景】QT延長症候群(LQT)は胎児期、新生児期に発症すると重篤な経過を辿ることがある。今回、第一子は遺伝子異常がないにも関わらず妊娠末期に原因不明の子宮内胎児死亡となり、第2子は母体と同様のミス変異を認めたが出生後からの治療が奏功している2症例を経験した。【症例】母親は28歳でLQT2(KCNH2遺伝子変異)と診断され、ICD植え込みを施行された。第1子:胎児期に不整脈は認めなかった。在胎40週0日に突然の胎児心拍低下のため緊急帝王切開で出生したが、自心拍を認めず死亡確認。児の病理解剖では異常を認めず、出生体重2470g、KCNH2, SCN5A, KCNQ1の遺伝子変異は認めなかった。第2子:在胎37週2日に予定帝王切開で出生、出生体重は2539g。出生後の心電図検査でQTc(Bazzett) 511msecと延長しており、日齢3よりPropranolol 0.5mg/kg/dayの内服を開始、1mg/kg/dayまで増量した。出生後は徐々にQTcは短縮傾向(QTc 380msec)となり、不整脈イベントなく経過し日齢20に退院とした。LQT2(KCNH2遺伝子変異)を認め、母親と同様の変異であった。【考察】第一子の死因は特定できなかった。既報ではLQT母体児の57%が同一遺伝子のキャリアとなるとされているが、遺伝子変異がない児においても、チャネロパチーによる胎盤機能不全が胎児死亡のリスクとなる可能性が推察されている。第二子のQTcは生後に改善したが、生後早期よりβ遮断薬を開始し不整脈なく経過している。LQTS母体児への対応は未だ定まっておらず、症例ごとの検討が必要である。