[I-P02-1-03] A case report of partial trisomy of chromosome 16 with Cor Triatriatum
Keywords:三心房心, 肺低形成, 染色体異常
【緒言】16番染色体トリソミーは流産胎児で最も多いトリソミーで、16番染色体長腕の部分トリソミーの出生例は世界的にも稀である。今回我々は、遷延する筋緊張低下や特異的顔貌を契機に16番染色体長腕部分トリソミーの診断に至った症例を経験した。【症例】2歳10か月女児。胎児心エコーで総肺静脈還流異常疑いから当院紹介、予定帝王切開となった。Apgar Score 3/7点(1分/5分)、出生時体重 2218g。出生後の心エコーでCor Triatriatum(A2a), PDAの診断となった。LA内隔壁の狭小化がなく、日齢3にPDA結紮術を施行した。術後状態が安定した抜管後も筋緊張低下が改善せず、顔貌も特徴的なことから染色体検査を実施し、16番染色体部分トリソミーの診断に至った。生後11か月時に、心房内隔壁は大きくないため心房中隔欠損閉鎖術のみを施行し、術後残存肺高血圧(PH)及び胸郭低形成に対して在宅酸素を導入した。頻回の誤嚥エピソードがあり重度の胃食道逆流が判明したため、噴門形成術及び胃瘻増設術を実施。現在の問題は、肺高血圧悪化を伴わない突発的なSpO2低下が起き、てんかんによる無呼吸の他、胃食道逆流再燃などを鑑別に精査中である。【考察】16番染色体長腕の部分トリソミーの主な症状は、低体重や低筋緊張、哺乳障害、発達遅滞、先天性心疾患や肺の異常を合併する。本症例でも既報と類似点が多く、根治的な対処方法はないが、発生しうる事象について予測が立つことは治療を継続する上で有益となる。現問題点としての心臓術後及び胃食道逆流治療後も起こる頻回のSpO2低下は、元々胸郭も小さく胸郭発達が遅延しているため肺の発生異常の影響が強く疑われた。【結語】先天性心疾患だけでは説明できない臨床経過を辿る場合、染色体検査や遺伝子検査などを十分な配慮の元で実施することで、その後の管理に有益となりうる。