[I-P02-1-05] RNA解析と蛋白立体構造解析により新規遺伝子変異を同定したFLNA異常症の兄弟例
キーワード:FLNA異常症, RNA解析, 蛋白立体構造解析
【はじめに】FLANA異常症はフィラミンAの異常によるX連鎖性疾患である。表現型は幅広く、重症型は脳室周囲結節上異所性灰白質の原因となり男性は胎生致死となる。軽症型にEhlers-Danlos型の僧帽弁ジストロフィー(FLNA-MVD)がある。FLNA-MVDにはミスセンス変異が知られているが、今回我々は欠失挿入型の新規遺伝子異常を3兄弟に検出し、RNA解析と蛋白立体構造解析を加えることで、新規の病的変異であることを証明した。【症例1】35歳男性。小学生時に心エコーでMRの診断を受け、当科紹介受診。dysplastic MV、AR、PR、TRの診断。Ehlers-Danlos症候群様の皮膚過伸展と関節過可動性を認める。【症例2】29歳男性、双胎兄。生後1か月児に心雑音を指摘され、dysplastic MV、AR、MR、TRの診断。20歳時に心臓カテーテル検査目的に紹介受診し、バルサルバ洞動脈瘤を認めた。新型コロナウイルスワクチン接種の4日後に破裂し手術。【症例3】29歳男性、双胎弟。生後1か月児に心雑音を指摘され、dysplastic MV、AR、PR、TRの診断。14歳時に心臓カテーテル検査目的に当科初診。16歳時にAVRとMVR。【遺伝学的検査】へミ接合性のFLNA c.2023-6_2026delinsACGCTを認めた。2023番目の塩基がエクソン14の最初の塩基であり、その前のイントロン部分6塩基とエクソン14の最初の4塩基が抜け、代わりにACGCTが加わった欠失挿入型の変異である。【考察】欠失部直後の塩基がAGであり、アクセプターサイトとして認識され、エクソン14の最初の4塩基とこの2塩基を合わせた6塩基が抜けることで2アミノ酸が抜けた新しいエクソンができたと考えられる。RNA解析で、RNAとしての発現量がかわらず、6塩基欠失した転写産物ができていることを証明した。また、蛋白立体構造解析を行い、この2アミノ酸欠失によりβシート構造が変化し、蛋白の安定性が悪くなることが分かり、新規の病的変異であることを明らかにした。