[I-P02-1-10] 重度の肺高血圧と肥大型心筋症を伴う重症Noonan症候群の心室中隔欠損症に対しTreat and repairを行った一例
キーワード:Noonan症候群, 肺高血圧, Treat and repair
【緒言】近年、肺高血圧を伴うVSDに対するtreat and repairの有効性が報告されているが、Noonan症候群など基礎疾患がある小児での報告は少ない。【症例】在胎37週、出生体重3368g。呼吸障害でNICU入院し、耳介低位、VSD・ASD・PH・HCMを認めた。RAF1ミスセンス変異(c.770C>T(p.Ser257Leu))を有するNoonan症候群であった。肺低形成・遷延性PH・心不全のため長期の人工呼吸管理を要した。生後2ヶ月の心カテでQp/Qs 2.1、mean PAP 53 mmHg(Pp/Ps 0.8)、RpI 7.3U/m2で肺動脈絞扼術を施行した。しかし、両心室の心筋肥厚が悪化し左室流出路閉塞を来したため、生後4ヶ月で肺動脈絞扼解除術を行った。生後7ヶ月で気管切開術を施行。1歳の心カテでQp/Qs 0.8、mean PAP 64mmHg (Pp/Ps 0.9)、RpI 20.5U/m2とVSDを伴う重度の肺高血圧へと進行していた。ただし酸素負荷試験ではQp/Qs 3.7、RpI 3.0U/m2まで改善した。Treat and repairを目指し、ボセンタン内服を3mg/kg/dayまで漸増したのちに、シルデナフィル1mg/kg/dayを追加したところで高肺血流に伴う左心不全症状が出現し、シルデナフィルを中止した。内服開始から4か月(1歳5か月)での心カテでQp/Qs 5.8、mean PAP 31mmHg (Pp/Ps 0.7)、RpI 3.6U/m2まで肺高血圧が改善し、すぐにVSD閉鎖・ASD作成術を施行した。術後1か月で自宅退院できた。現在2歳でボセンタンを継続し、エコー上TRPG 30mmHgと肺高血圧所見の増悪を認めず経過している。【結語】本児の遺伝子変異は肥大型心筋症と肺高血圧を合併する重症Noonan症候群であったが、Treat and repairによってVSD閉鎖術を施行でき、肺高血圧の増悪なく経過している。