The 60th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Poster Session

胎児心臓病学

Poster Session(I-P02-2)

Thu. Jul 11, 2024 2:20 PM - 3:20 PM Poster venue (2F Multi-purpose Hall)

座長:三好 剛一(国立循環器病研究センター 研究振興部)

[I-P02-2-01] Perinatal management of pregnant women with chemotherapy-related cardiac dysfunction.

梶山 葉, 喜多 優介, 井上 聡, 河井 容子, 池田 和幸 (京都府立医科大学 医学部 小児科)

Keywords:がん治療関連心機能障害, 周産期, 慢性心不全

背景:心機能低下をもつ妊娠女性の分娩時期は、胎児の成熟と母体心機能との兼ね合いで判断せざるを得ず、時に早期娩出の判断となることもある。その判断基準は定まったものはない。今回我々は、慢性心不全患者の分娩時期を右心機能で評価した症例を経験した。症例:32歳女性。幼児期発症の小児がんに対し、アントラサイクリン系薬剤(アドリアマイシン換算198mg/m2)を用いた化学療法と縦隔への放射線治療により、がん治療関連心機能障害(chemotherapy related cardiac dysfunction, CTRCD)を発症し慢性心不全管理を要し、これまでに2回の心不全入院歴があり、その際のLVEFは16%, LVEDV 229ml/m2であったが、心不全治療により妊娠前はEF 40-50% まで改善していた。妊娠25週に当院入院管理開始。入院後の心エコー検査で、LVEF 37%、僧帽弁通過血流E/A 0.89, E/E' 10.7と拡張障害を呈していた。妊娠30週でのCMRではLVEF 27%, LVEDV 138 ml/m2とEFの低下と心拡大を認めた。一方右室機能は入院時FAC 44.4%,GLS-RV -28.2% と保たれていた。妊娠37週までの継続は困難と思われ、慎重に経過を観察する方針となり、心エコー検査で頻回に状態を把握した。LVEFは一貫して低値であったが、妊娠30週ごろよりGLS-RVが次第に低下。妊娠32週にはGLS-RV -13.5% となり、間欠的な子宮収縮も見られたため分娩時期と判断、tocolysisを行わず33週で予定帝王切開術を施行。体重2220gの女児を出産。分娩後の経過は良好で術後ICU管理1日行い、術後8日で退院となった。GLS-RVは分娩3か月後には妊娠前値まで回復したが、LVEFは29%と改善には至っていなかった。まとめ:左心機能低下を伴う妊娠女性の周産期管理において、妊娠継続の判断の指標としてGLS-RVを用いた。volume 負荷の影響を受ける右心機能の限界を最も鋭敏に示していたと考える。